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-3- 証券担保ローンの新サービスが拡大 ストックを生かし、低利融資の利便性に力を入れる各社 - 経済トピックス - 話題とコラム

 

特集・コラム [ 【経済トピックス】 ]

【第13回】証券担保ローンの新サービスが拡大 「ストックを生かし、低利融資の利便性に力を入れる各社」

証券会社が顧客サービスの一環として、株式などを担保として低利融資が受けられる「証券担保ローン」に力を入れている。大証金(大阪証券金融)がカード会社と提携して利便性を高める一方、大和証券ではネットから申込ができるようにするなど、各社対応を強化しているようだ。
 普通の銀行ローン、カードローンとはどう違うのか。そして利用者にとって本当に便利なのか。QUICK・MoneyLifeが取材したところ、株式などの資産を生かしながら低利で融資が受けられるメリットがある一方、やはり借入金であるため、株式などへの二重投資ではなく急な出費などに限定して使うことが大事だということが分かった。

株式などを担保に融資、金利の低さがメリット

 証券担保ローンとは、その名が示すように「証券」を担保として融資が受けられるサービスのことをいう。日本証券金融などの証券金融会社、だいこう証券ビジネスなどが直接行っているもののほか、イートレード証券、日興コーディアル証券などが大証金と提携してサービスを提供している。各社の融資金利は年利3.675~3.925%。通常のカードローン(年利15.00~27.375%)などと比べて、金利の低さが最大の特徴となっている。
  金利を低く抑えられるのは、株式などを担保にできるからだ。大証金のコムストックローンを例にとると、株式などの時価の最大60%、最大3000万円までの融資を受けられる。担保にできる証券は株式などの上場されている有価証券だが、大証金が選定する融資不適格銘柄など、一部の株式は担保にできない点は留意される【表参照】。
担保にできる有価証券 例、備考など
株式 東証マザーズ、大証ヘラクレス、ジャスダック上場銘柄を含む。
協同組織金融機関の優先出資証券 信金中央金庫
投資証券 上場不動産投資信託(J-REIT)
投資信託の受益証券 株価指数連動型上場投資信託(ETF)
※外国株式、国債、金融債、転換社債などの債券、未上場の投資信託は担保にできない。
また大証金が選定する融資不適格銘柄も担保にできない。大阪証券金融資料よりQUICK作成。
また、担保の株式が下落して担保割れが生じた場合には、一定期間内に追加の担保を入れるか、融資金を返済しなければならない。期日内に返済できなければ担保の株式が売却されて元利返済に充てられるため、利用する場合には担保にゆとりをもって使った方が良さそうだ。
一番のメリットは、口座に株券を入れたまま担保にできるため、配当や株主優待など株主としての権利が当然受けられることである。これまでなら配当確定が近いタイミングでも、急な出費のためには株式を売却しなければならない時もあっただろう。生活資金と投資の自由度の両方に応えるため、各社が力を入れるのも納得できる。

大証金はJCBと提携、24時間引き出し可能に

大証金は1月24日、松井証券、リテラ・クレア証券で利用できる証券担保ローンとして、JCBと提携した「コムストックローン+カード」のサービスを開始した【写真1】。これはJCBと提携することで、24時間、9万台の提携ATMでの出金を可能としたもの。同社営業部ネットビジネス課の福田信行課長は、新サービスの狙いについて「従来もインターネットからローンの申込みができるサービスを行っていましたが、お客様からもっと便利に使いたいという声があり、即時性を重視しました」としている。従来の「ネットで申込み→翌日振込み」という仕組みから、24時間いつでも自由に引き出せる方式に変えたことが最大の特徴である。
写真1 JCBと提携の専用カード(左からリテラ・クレア証券、松井証券)
写真1 大阪証券金融とJCBが提携した専用カード
(左からリテラ・クレア証券、松井証券)
この利便性を実現するシステムなどにはコストが掛かるため、融資金利は5.75%となっている。従来の3%強の金利と比べてやや高めだ。しかし、株式投資を行っている投資家なら資産を活用して借り入れができるため、カードローンで借りるより金利負担はぐっと減る。JCBも従来の無担保ローンの顧客とは違う層に貸出先が広がり、大証金としてもJCBのノウハウを得ながらマスリテールに進出できる。「従来の顧客とは違うミドル層をターゲットにしていますので、お互いにメリットのある商品です」(同)。
またコムストックローン+カードの特徴として、担保である株式を売却して現金化した場合でも、引き続きその現金を担保としてローンを借りられることがあげられる。提携証券会社は今後も増える見通しで、すでに数社から引き合いも来ているという。

大手もサービス強化、大和はネットで申し込み

大手証券会社の動きも関心を集めている。大和証券では従来から証券担保ローンを対面営業で取り扱っていたが、2月15日からはインターネットで手続きができるようにサービスを拡充する。同社ローンビジネス推進室の柳澤達維室長は「いままで証券会社でお金が借りられるという発想自体がなかったと思いますので、顧客サービスラインナップの1つとして力を入れます」と、その狙いを語る。
写真2 大和証券の柳澤達維氏
写真2 大和証券の柳澤達維氏
同社の最大の特徴は、3.675%(2月15日時点)という融資金利である。「お金を貸して儲けるというより、あくまでも利便性を重視した金利設定です」(同)。緊急に現金が必要なとき、これまでは株式を売却して資金を捻出する必要があったが、2ヶ月後にボーナスが入るといった具合に将来の確実な収入が見込めるのなら、証券担保ローンを利用するのも手かも知れない。「お金を貸すというより、お客様が株式を売るタイミングを調整できる選択肢を増やしたということです」(同)。
いまの時代、低い金利でお金を借りようとするなら銀行のサービスを利用すれば良いが、これには時間と手間が掛かる。その反面、時間と手間が掛からない消費者ローンでは非常に金利が高い。「株式や投資信託など、有価証券をたくさん扱っている証券会社だからこそ、これを担保とした融資もできる。まさにコロンブスの卵の発想です」(同)。ある程度の株式を持っている投資家が急な現金を必要とした場合、使い勝手は良さそうだ。

株式への二重投資は禁物、急な出費に計画的な利用を

証券担保ローンと似た仕組みの取引で、プロの世界で行われる「株券レポ」では、投資家が担保に差し出した株券は貸し株に回される。この結果、投資家が保有していた銘柄はカラ売りによる値下がりリスクを抱えることになる。大証金、大和証券とも、証券担保ローンの株式は口座に置かれるため、貸し株に回されることはないとのこと。両社のサービスで、値下がりリスクがない点は安心だ。
かつて証券担保ローンと言えば、玄人向きのサービスだったかも知れない。積極的にリスクをとる個人投資家が証券担保ローンで資金を調達し、ソフトバンクを担保に入れてヤフーに投資するような取引もできたからだ。ひとつ間違えばハイリスク・ハイリターンの投資を助長するような商品である。
今回の新サービスの証券担保ローンで得た資金の使途は自由だが、両社とも株式投資は奨めていない。「投資の健全性の観点で、積極的にはお奨めしません」(大証金の福田氏)、「証券担保ローンの資金を使った株式投資は全く想定していません、株式投資であれば金利も低い信用取引をお奨めします」(大和証券の柳澤氏)との声もある。あくまでも借入金である以上、証券担保ローンは日常生活での急な出費だけに使い、かつ計画的に活用してもらいたい。
【執筆:MoneyLife 片平正二】
(掲載日:2007年2月15日)

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