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東証上場ETFが86本に増加 - 専門家に聞く なるほど!ETF - 東証ETF・ETN活用プロジェクト 東証ETF

 

東証ETF・ETN活用プロジェクト [ なるほど!ETF・ETN ]

【第1回】

東証上場ETFが86本に増加

-品揃えの強化とETF投資環境整備に向けた東証の取り組み

東証上場部部長 兼 上場推進室長 小沼泰之氏
東証 上場推進室長 小沼泰之氏

  2010年3月19日、エネルギー、産業用金属、農産物などに連動する上場投資信託(ETF)14本が上場し、東京証券取引所に上場するETFが86本になりました。
  東証は、ETFの制度を改正し商品を多様化することで、投資家が投資しやすい環境を整備し、市場の活性化に取り組んでいます。上場推進室長の小沼泰之氏に東証のETFへの取組みやETFの市場動向について聞きました。

-ETFの銘柄数が増加しています。東証として今後の目標を教えてください。
東証は2007年11月に上場推進室を設立し、規制緩和や制度改正を進めてきました。この頃からETFの銘柄数は増えはじめ、今年3月19日現在で、東証上場のETFは86本に増加しました。さらに、2010年度中(2011年3月迄)に東証に上場するETFの銘柄数を100銘柄に増やす目標を立てています。具体的な数字目標を掲げたのは、「ETF市場を整備し、多くの投資家に普及したい。市場を活性化したい」という東証のメッセージを投資家にお伝えしたいという意図があります。銘柄数が増えることで投資対象となる資産の種類も増えるため、投資家のニーズに合致したETFを選べる機会がますます増大すると考えています。
-ETFは知っていてもまだ実際に取引していない個人投資家も多いようです。ETFをどのように活用していけばよいでしょうか。
個人投資家、特に投資初心者に近い方に証券投資を親しみやすく感じていただいて、「投資の導入商品」としてETFを活用していただきたいと思います。
例えば、日本株の個々の企業の財務内容や業績を調べるには手間や経験・知識が必要だと感じている方は、日経平均株価、TOPIXなどマーケット全体に投資するETFに投資するのも良いでしょう。
新興国の成長に関心があるが何から投資したらよいかわからない方は、中国、インド、韓国、ブラジルなど各国の証券市場全体に投資するETFへの投資を考えるのも一手です。
世界の株式に幅広く分散投資したい方は、新興国全体に投資する「上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)」などに注目してもいいと思います。
また、ETFは一般の投資信託と比較して信託報酬が割安なので、短期売買より長期投資の資産形成に向いているのではないでしょうか。
-東証上場ETFの品揃えとあわせて、投資先についてはどのように考えていますか。
日本株、海外株、海外債券、商品、REITなどのETFが揃い、セグメント(投資先)はかなり埋まったと思います(表参照)。
TOPIXなどの日本株ETFに、「上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI-KOKUSAI)」と「上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)」のETFを加えることで、全世界の株式に投資するポートフォリオを東証ETFで作ることも可能となりました。米国では、純資産最大の「SPDR S&P 500 ETF Trust」(投資対象:米国株)とセットで世界株のポートフォリオができる組み合わせとして評価された、「iShares MSCI EAFE Index Fund」(投資対象:米国、カナダを除く先進国)、「iShares Emerging Markets Index Fund」(投資対象:新興国株)などの残高が増えた例もあります。
今後、さらに東証上場ETFのセグメント(投資先)を増やすことでETFを活用した様々なポートフォリオが作成できるようになり、日本のETF市場の拡大につながると思います。
投資対象 2008年までに上場したETF 2009年以降に上場したETF
日本株ETF ・TOPIX
・日経平均株価
・規模別(超大型・大型・中型・小型)
・業種別(電気機器・銀行業 等)
・環境関連株 (4月28日上場、日興AM)
・三菱系企業群 (7月17日上場、三菱UFJ投信)
・TOPIX (5月15日上場、三菱UFJ投信)
外国株ETF ・韓国株
・中国株
・ブラジル株
・インド株 (11月26日上場、野村AM)
・米国株(NYダウ) (12月10日上場、シンプレクスAM)
・MSCI-KOKUSAI (2010年1月29日上場、日興AM)
・MSCIエマージング (2010年2月24日上場、日興AM)
外国債券ETF なし ・アジア債券 (6月19日上場、ステート・ストリート)
・先進国債券 (9月30日上場、日興AM)
不動産 ETF ・J-REIT なし
商品ETF ・金 ・商品指数 ・金、銀、白金、パラジウム、貴金属バスケット
(8月24日上場、ETFセキュリティーズ)
・天然ガス、原油、ガソリン、アルミニウム、銅、ニッケル小麦、とうもろこし、大豆、総合商品指数、エネルギー商品指数、産業用金属商品指数、農産物商品指数、穀物商品指数 2010年3月19日上場、ETFセキュリティーズ)
-東証に上場している個々のETFの動向について教えてください。
売買代金が多いのは、「上場インデックスファンド225」(日興アセットマネジメント)、「TOPIX連動型上場投資信託」(野村アセットマネジメント)の日本株のETFです。機関投資家が、株式のバスケット、ETF、指数先物を複合的に取引していることに加え、個人投資家の取引も盛んです。純資産をみると、東証で取引できる「上場インデックスファンド225」は約2800億円、「TOPIX連動型上場投資信託」は約5700億円であり、世界のETFと比べても引けをとらない規模です。
また、金地金価格(ロンドン金値決め)を連動対象とする「SPDR ゴールド・シェア」も比較的売買代金は多いです。同じタイプのETFが、アジアの3つの取引所(東京、香港、シンガポール)にほぼ同じ時間帯で取引しており、同じ商品が流動性を競っているような状況ですが、最近ではこの中で東証の売買代金が最も多くなっています。
また、「NEXT FUNDSブラジル株式指数・ボベスパ連動型投信」、「NEXT FUNDSインド株式指数・S&P CNX Nifty連動型上場投信」、「上場インデックスファンド中国A株(パンダ)CSI300」など新興国株を連動対象とするETFも比較的売買代金は多いです。
ETFのタイプ別の売買代金をみると、国内株ETFは前年比で減少していますが、REIT、外国株、外国債券、商品を対象としたETFは前年比増加しており、個人投資家の認知度も高まりつつあります。
2月24日に上場したばかりですが、「上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)」の動向に注目しています。信託報酬が年率0.25%程度であり、世界の同じタイプのETFの信託報酬と比較してもかなりコストが低く、投資家の注目度は高いようです。
-米国のETF上場本数と比べると日本はまだ規模が小さいようです。米国市場に追いつくためには今後どのような環境作りが必要でしょうか。
イメージ
日本のETF市場は成熟したマーケットではなく、まだ成長過程だと思います。
米国において、ETFは797本も上場していて純資産の合計は約60兆円と、日本のETFの純資産合計約3兆円を大きく上回ります。また、米国ETFの売買代金は、米国の株式市場全体の売買代金の3、4割を占めており、「SPDR S&P 500 ETF Trust」1本の売買代金は東証全体の売買代金と同じくらいの日もあります。
東証では2010年1月、取引の迅速化を実現した取引所システム「arrowhead」(アローヘッド)が稼働しシステムのスピードや容量は海外の取引所と比較して遜色のないレベルとなりました。海外投資家が東証上場のETFを売買するための環境は整ってきていると思います。全公募ファンドに占めるETFの比率をみると、米国は10%弱で日本は約5%であり、日本のETFの純資産はここから2倍に増える余地は十分あると考えています。
-個人投資家の中には、ETFはインデックスファンドとどこが違うと思っている方も多くいます。ETFの特長である流動性、換金性について教えてください。
ETFは取引所でいつでも売買できる点がメリットであり、リアルタイムで価格が変動し価格を指定する指値注文が可能です。業種選択型のETFの一部は売買代金が少ないファンドもあり、流動性を心配している投資家もいます。
しかし、証券会社がETFの理論値をもとに流動性を供給するので、実際の売買代金が少ないことのみで、流動性が少ないという状況とも限りません。
しかしながら、板が薄い状況で売買する時には約定値に大きな差がでるケースもあるので、板を確認した上で注文を入れるなど注意も必要です。
-ETF売買活性化、認知度向上に向けた今後の東証の取り組みと個人投資家へのメッセージをお願いします。
運用会社、行政と意見をすり合わせながら、ETFの組成の促進やルールの改善など、ETFの市場拡大に向けて全面的にサポートしています。ETFを設定する運用会社とも日々積極的に情報交換を行い、投資家のニーズを収集して制度の改正を行ってきたことで、外国株や商品など多様なETFの組成も可能になりました。
個人投資家へのETF普及に対しては、認知度拡大に向けたPR活動も積極的に行っています。先日行われた「東証IRフェスタ2010」では、個人投資家向けにETFに関連した講演会やセミナーを開催し、個人投資家のETFに対する関心の高さを直接感じることができました。
また、ETF、REITなどの仕組みを解説した「東証公式株式サポーター(ETF&REIT編)」や各ETFの内容について記した「東証ETF入門」などの冊子も作成し、個人投資家や証券会社へ提供しています。
今後もETFの品揃えの強化を図るとともに、様々なPR活動を通して東証ETFの認知度拡大、取引活性化に向けて取り組んでいきます。
■東証ETFスクエア
■東証ETF入門
掲載日:2010年月3月19日/株式会社QBR


   
    

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