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【第7回】ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ ETF世界大手 ステート・ストリートが提供 アジアの中央銀行による債券市場育成プロジェクトから生まれたETF 東証ETF

 

東証ETF・ETN活用プロジェクト [ なるほど!ETF・ETN ]

【第7回】

ETFプロバイダーに聞く――ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ

ETF世界大手 ステート・ストリートが提供
アジアの中央銀行による債券市場育成プロジェクトから生まれたETF

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社 証券営業本部長 リチャード クレアモント氏

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社 証券営業本部長
リチャード クレアモント氏

 サブプライムローン問題以降、金融商品への信頼が薄らいでいる中で、米国のETF市場が著しい成長を遂げています。米国のETFの残高は4月末時点で8300億ドル(約75兆円)となり、2008年末と比較して5割も拡大しました。その米国ETFの中でも群を抜いて規模が大きいのが、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSgA)の運用する「SPDR(スパイダー) S&P500」で、残高は740億ドル(約6.6兆円)にのぼります。
海外で高い実績をあげるSSgAの日本法人であるステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社(SSgA Japan)の証券営業本部長のリチャード クレアモント氏に、同社が提供する「ABF汎アジア債券インデックス・ファンド」(以下、「アジア国債・公債ETF」)の特徴や今後の展開について話を聞きました。

-「アジア国債・公債ETF」設定の背景
1997年のアジア通貨危機による金融市場の混乱を受けて、アジアの中央銀行間協力の枠組みとして、アジア太平洋地域の11カ国・地域の中央銀行による「東アジア・オセアニア中央銀行役員会議(EMEAP)」が設立され、そのEMEAPによりアジア債券市場の育成を目的としたプロジェクト「アジア・ボンド・ファンド(ABF)」が創設されました。
ABF1の参加者はEMEAPメンバーの中央銀行のみに限定されていましたが、ABF2では民間の投資家にも開放され、弊社グループのSSgAシンガポールが「アジア国債・公債ETF」の運用者として選定されました。正式名称にあるABFは「アジア・ボンド・ファンド」の略であり、アジアの中央銀行を通じたアジア債券市場の育成プロジェクトから生まれたETFといえます。
こうした中央銀行などの取り組みもあり、今日のアジア債券市場は拡大しました。下図のように、南米や東欧と比べると格段に大きな規模に成長しています。
現地通貨建て債券の発行残高推移(非国債を含む) 2009年9月現在
現地通貨建て債券の発行残高推移(非国債を含む) 2009年9月現在
データソース:BIS Quarterly Review
出所:SSgA資料
-「アジア国債・公債ETF」の4つの特徴
1.日本初の債券連動型ETF
 1つ目は、日本初の債券連動型ETFであること。2007年まで、国内取引所には、日本株に投資するETFしか上場していませんでしたが、規制緩和や制度改正により商品が多様化し、外国株、商品(コモディティ)、債券、REITなどのETFが相次いで上場しました。その動きの中で、アジア債券に投資する当ETFも国内上場しました。
2.アジア諸国の債券市場に分散投資
 2つ目は、当ファンドを通じて、経済成長するアジア諸国の債券市場に分散投資できること。当ETFの投資対象は、アジアの8つの国と地域(中国・香港・インドネシア・韓国・マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイ)の国債と公債です。投資対象の各国・地域は、欧米や日本などの先進国に比べて高い経済成長が予想され、当ETFを通じてその成長を享受することが期待できます。
 また、投資地域がアジアに限定されているものの、先進国(香港・シンガポール・韓国)、エマージング(インドネシア・フィリピン)、その中間領域の国(中国・マレーシア・タイ)と投資対象のセグメントが幅広く、金利や為替の動きに違いがあるため、バランスの良い投資ができます。過去7年間のベンチマーク(円ベース)の値動きの標準偏差は9%程度と小さく、先進国債券(円ベース)の10%をも下回っており、近隣諸国に投資しながらも分散投資効果が得られていることがわかります。
「アジア国債・公債ETF」国別構成比率(2010年5月末)

出所:SSgA資料から引用
3.先進国債券との相関性が低い
 3つ目は、当ETFの投資対象のアジア債券と先進国債券との値動きの相関性が低いこと。そのため、先進国債券にアジア債券を組み合わせることで、効率的なポートフォリオの構築が可能となります。欧州の金融市場が混乱している中で、グローバル債券投資の対象として、アジア債券の注目度が高まっているようです。
アジア債券と先進国債券の相関係数(2001年~2010年4月)

データソース: Citigroup Government Bond Index と iBoxx Pan-Asia Index の月次リターンからSSgAが作成。
出所:SSgA資料から引用
4.人民元建ての債券に投資
 4つ目は、中国人民元建ての債券に投資できること。一般的に、中国の債券に投資する公募ファンドの多くは、米ドル建ての中国債券を投資対象としており、当ETFのように個人投資家が人民元建て資産に投資できる金融商品は少ないといえます。当ETFはQFII(中国が指定した外国の機関投資家に限定し、人民元建資産への投資を条件付で認める制度)といった海外機関投資家に与えられた投資枠を使っているわけではなく、EMEAPに中国人民銀行が参加していることで、ファンドに対して人民元建て資産への投資枠が与えられています。
 中国の巨額の貿易黒字を背景に、米国を中心とした先進国は人民元の切り上げ圧力をかけているとの報道もされており、人民元建て資産に投資したいという投資家も増えていることから、そういう方にとっては効果的な金融商品だと思います。
-コストと流動性
コスト面でみると、信託報酬は0.20%と低めです。一般の外債ファンドでは信託報酬が1%を超えるものも多いことを考えると、コストが低いことがわかります。 一般の外債ファンドでは2%程度の販売手数料がかかるものもありますが、ETFでは売買手数料のみであり、売買時のコストも低いといえます。 また、海外の取引所で上場し日本で登録しているETFへ投資する場合、為替手数料がかかりますが、当ETFは東証に上場しているため、為替コストは発生しません。
流動性の面でいうと、取引所時間中に指値などで注文できる点もメリットです。 売買の板が薄いことを指摘する向きもありますが、数社のマーケットメーカーとアービトラジャーの存在で、一定の流動性が確保されていると思います。東京証券取引所とマーケットメイクが確立している香港証券取引所に重複上場していることで、価格に乖離が生じた場合、アービトラージ(裁定取引)を入れることができる環境になっています。
東証に上場したこの1年間を通じて、大きなビット(買い注文)に対して、ビットをつぶす動きもあり、両市場間でアービトラージをしている機関投資家がいるように感じます。
-ステート・ストリート グループのETFの取組み
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社 証券営業本部長 リチャード クレアモント氏
米国初のETFとして、1993年から「SPDR S&P500」の運用を開始し、同ETFの純資産は740億ドル(約6.6兆円)と世界最大となりました。また、現在でも資金流入が大きい「SPDR ゴールド・シェア」の残高は440億ドル(約4兆円)にのぼり、世界で2番目の規模です。
ステート・ストリート グループ全体のETFの本数は110本超で、資産残高は約2000億ドル(約18兆円)と、世界第2位のETFプロバイダーです。 
また、SSgA Japanは1991年から日本で業務を開始し、2008年6月に「SPDRゴールド・シェア」、2009年6月に、「アジア国債・公債」の2本のETFを上場させました。「SPDRゴールド・シェア」は、実物商品(金)の裏づけがあるETFであり、「アジア国債・公債」は、アジアの8つの国と地域に投資するETFとして、どちらも日本初のETFで、日本のパイオニアとしてETF市場発展に貢献しています。
海外での経験や豊富な商品ラインナップに加え、日本での経験を活かして、日本の投資家にフィットしたETFを開発し提供していきたいと考えています。
-日本のETF市場の可能性
米国のETFの残高は8300億ドル(約75兆円)で、日本のETF残高3兆円の25倍程度あります。また、米国のETFの売買代金は、米国の株式市場全体の3、4割を占めており、「SPDR S&P500」1本の売買代金が東証全体の1日の売買代金を上回る日もあります。ETFは、米国の金融市場で欠かせない大きな存在となっています。
しかし、その米国においても運用を開始した1993年当初の残高は小さく、その後のいろいろな状況が組み合わさって、ここまで成長してきました。
日本のETFは、政府や東証の積極的なサポートや制度改正で、品揃えも増えており、投資家の認知度も高まりつつあります。米国の1993年当時の状況と似ている面もあり、マーケットの変化など何かを契機に今後日本のETF市場は拡大すると確信しています。
「アジア国債・公債ETF」の設定来の基準価額の値動き
「アジア国債・公債ETF」の設定来の基準価額の値動き
掲載日:2010年月6月18日/株式会社QBR


   
    

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