株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

【第42回】野村アセットマネジメント商品企画部の藤田裕生氏に聞く パッシブ運用の新潮流「ファンダメンタル・インデックス」。低コストでアクティブ運用並みのパフォーマンスが期待

東証ETF・ETN活用プロジェクト [ なるほど!ETF・ETN ]

 

野村アセットマネジメントが設定・運用する42本目のETF「NEXT FUNDS R/Nファンダメンタル・インデックス上場投信」(1598)が今年3月、東証に上場した。TOPIXに代表される時価総額型ではない、いわゆるスマートベータ型の「ファンダメンタル・インデックス」に連動することをめざすのが最大の特徴だ。同インデックスとETFについて、野村アセットマネジメント商品企画部の藤田裕生氏に聞いた。


『売上高』『営業キャッシュ・フロー』『配当金』でウエイト算出

野村アセットマネジメント
商品企画部 藤田裕生 氏

「NEXT FUNDS R/Nファンダメンタル・インデックス上場投信」(1598)は日本株式を組み入れたETFだ。連動対象は、Russell/Nomura ファンダメンタル・プライム・インデックスと呼ばれる株価指数で、企業の業績などから対象銘柄を選別する「ファンダメンタル・インデックス」である。指数のウエイトを決める際に株価を使わない、"非時価総額型"のスマートベータ指数ということができる。

「このETFが連動対象とするRussell/Nomura ファンダメンタル・プライム・インデックスでは、組入銘柄のウエイト算出に『売上高』『営業キャッシュ・フロー』『配当金』という公表されている3つのファクターを金額ベースで使います。まずは時価総額上位98%の銘柄で投資ユニバース(約1,400銘柄)をつくり、3ファクターごとの合計金額に対する各銘柄の割合を算出。3ファクターごとに計算した各銘柄の割合を単純平均した割合で保有するのが基本コンセプトです」(野村アセットマネジメント商品企画部の藤田裕生氏)。


【図表1】『Russell/Nomura ファンダメンタル・プライム・インデックス』の算出プロセス
(出所)野村證券金融工学研究センターのウェブサイトより抜粋

シンプルな考え方でもTOPIX比+3%のパフォーマンス実績

実際は、その後に流動性などを加味してスクリーニングする。2014年3月末現在における同インデックスの組入銘柄数は562銘柄。毎年1回12月に組入銘柄の入れ替えを実施する。アクティブ運用の投信ほどではないが、時価総額型インデックスに比べると入れ替え銘柄は多くなる。藤田氏は「過去の実績では、おおよそ12%弱くらいの銘柄が入れ替わるイメージ」と説明する。

上記のように、組入銘柄の選択やウエイト算出にあたって特別高度な計算はしていない。重要なことは「シンプルな手法でもTOPIXより超過リターンが期待できる点」と藤田氏はいう。過去の実績では、2000年12月から13年12月までの年率換算で、当インデックスは5.8%のリターンがある。同時時のTOPIXは2.8%。3%の超過リターンを得ているわけである(図表2参照)。


【図表2】『Russell/Nomura ファンダメンタル・プライム・インデックス』のパフォーマンス

円ベース、配当込指数を使用、1年未満は期間内のリターン、1年以上の期間は月次リターンを元に年率換算

(出所)野村證券金融工学研究センターのウェブサイトより抜粋

時価総額に関係なく"あるべき割合"で組み入れる

TOPIXに代表される時価総額型インデックスの何が問題なのか。藤田氏は市場の効率性の観点で次のように説明する。

「もし株式市場が効率的(フェアバリュー)であれば、時価総額型インデックスは合理的ということができます。しかし実際は違います。株式市場は経済合理性だけでなく、市場参加者(投資家)の思惑で大きく動きます。市場参加者の思惑で本来あるべき株価から極端に乖離する状況を"バブル"と呼びます」。

「ファンダメンタル・インデックスの考え方が生まれたのは2005年。きっかけは2000年代初頭のITバブルでした。企業の経済規模からかけ離れた水準にもかかわらず熱狂的な買いが集まり、ピークを迎えて一気に約5,000億ドルの時価総額が消えてしまった銘柄もありました。時価総額型インデックスでは、バブルで本来の価値から明らかに買われ過ぎた(割高)銘柄のウエイトも高くなります。これが時価総額型インデックスの問題点」。

「これでは、割高な銘柄が本来ある株価に戻る過程(バブル崩壊後の調整過程)で、パフォーマンスが劣化してしまいます。市場参加者の思惑に左右されないよう、株価によらず経済規模に基づいて保有するのであれば同じ経済規模の銘柄のウエイトは同じ、時価総額型インデックスと比べて割高な銘柄は割高な分少なく(アンダーウエイトで)、割安な銘柄は割安な分多く(オーバーウェイトで)保有することが理論的に可能です。このように、本来あるべき姿に近いウエイトで組み入れる方法として考えられたのが、ファンダメンタル・インデックスです」。


【図表3】株価の動きに左右されない組入ウエイトの考え方

(出所)野村アセットマネジメント作成
(注)上図はイメージ図です。

信託報酬を含む実質運用コストは40ベーシスポイント(0.4%)

Russell/Nomura ファンダメンタル・プライム・インデックスは2012年6月に公開されたが、そこから約1年、「JPX日経400インデックス」の算出・公表によって非時価総額型インデックスに対する投資家の関心は大きく変わった。「東京証券取引所と日本経済新聞社が推進したことによる強いメッセージ力によって、非時価総額型の観点が広まったと考えられます」(藤田氏)。

現在では、とくに年金基金などの機関投資家の間でファンダメンタル・インデックスに代表されるスマートベータの考え方が評価を得ているという。「TOPIX単一の時代から、スマートベータを含めた多様な指数の時代へシフトする動きが見られます。」(同)。

「NEXT FUNDS R/Nファンダメンタル・インデックス上場投信」は、低コストでアクティブ投信のように中長期での超過リターンが期待できるETFといえるだろう。「日本株式でTOPIXなどのベンチマークに対する超過リターンを期待するご投資家さまにとって重要なのは、運用コスト控除後のリターンではないでしょうか。当ETFの信託報酬を含む実質運用コストは40ベーシスポイント(0.4%)ほどと比較的低コスト」(同)。

ファンダメンタル・インデックスは一般的に、バブル期は対TOPIXでアンダーパフォーム、調整期はアウトパフォームする傾向がある。投資にあたっては、「タイミングというより、株価サイクルを考慮しながら3~5年の期間で投資を考えてみてはいかがでしょうか。その意味では、NISA(少額投資非課税制度)にも向くと思います」(藤田氏)。

1口単位からの売買が可能だが、ETFを日計りで売買する短期投資家には向かない。じっくりと中長期投資でTOPIXより2~3%の超過リターンを期待したい投資家は検討に値するETFといえそうだ。

掲載日:2014年5月14日



   
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »