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【第50回】三菱UFJ国際投信 商品企画部・ETF推進室マネジャーの佐々木康平氏に聞く 高ROEの継続性を"クオリティ"として判断。アクティブ投信の投資スタイルを低コストで実現

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 三菱UFJ国際投信は2016年3月、企業のクオリティ(品質)に着目した新しいETF「MAXIS JAPANクオリティ150上場投信」(1460)を設定、上場が認められた。三菱UFJ信託銀行とSTOXX社が共同開発した株式指数「iSTOXX MUTB JAPANクオリティ150インデックス」に連動することをめざすETFで、日本の株式市場全体を上回る収益が期待できる仕組みだという。同社商品企画部ETF推進室マネジャーの佐々木康平氏に、設定の背景と特徴などを聞いた。


――「MAXIS JAPANクオリティ150上場投信」を設定するにあたっての経緯を教えて下さい。

三菱UFJ国際投信株式会社
商品企画部・ETF推進室マネージャー
佐々木康平氏
佐々木氏

 東証に上場するETFは、TOPIXをはじめとする日本株から、外国株、外国債券、REIT、金など、商品ラインナップが揃ってきました。

 当社も日経225型、TOPIX型、JPX日経インデックス400型(JPX日経400型)、リート型を中心に商品を上場しました。そうした中、日本株式に投資するものとして、「クオリティ(品質)」に着目したETFがあっても面白いのではないか、と考えてこのETFを設定しました。

 クオリティというと、ROE(株主資本利益率)に着目した株式指数としてJPX日経400インデックス(以下、JPX日経400)が有名です。そのETFは指数設定から約2年で純資産が5,400億円まで拡大、当社のETFも900億円まで増加しました。急拡大の理由としては、クオリティという点が投資家に受け入れられた結果だと考えています。

 一方で、JPX日経400に対する物足りなさもあったのかもしれません。JPX日経400は400銘柄で構成されていますが、パフォーマンスを見ると1,900銘柄程度のTOPIXとの差は小さいものでした。投資家向けのセミナーでは、「結局のところTOPIXと変わらないじゃないか」という声をかけられることがありました。JPX日経400のコンセプトを活かしつつ、もう少しエッジを効かせた商品を作ってETFを設定すると、面白いのではないかと思ったのです。

――ETFのクオリティはパフォーマンスを伴う必要があるということですね。JPX日経400ETFと本ETFの違いはどこになるのでしょうか。
佐々木氏

 JPX日経400はROEに着目した株式指数ですが、ROEは財務レバレッジ(負債の活用度)を高めれば向上してしまいます。それでは、ROEが企業の稼ぐ力=収益力に直結しているとはいい難いかもしれません。本ETFではROEに着目しながら、それが持続するのかどうかという点に着目しています。

 本ETFが考える高いROEの持続が見込まれる企業の主な特徴は3つあります。1つめが「経営の健全性」、2つめが「高いキャッシュフロー」、そして3つめが「低い利益変動性」です。株式指数を構築するにあたっては、これら3点を定量的にスクリーニングするプロセスを設けています。

【各インデックスにおける構成比率 上位10銘柄】
  • 上記は、特定の銘柄の推奨をするものではありません。
  • 上記は、過去の実績・状況です。本見通しないし分析は作成時点での見解を示したものであり、将来の市場環境の変動や運用状況
  • 成果を示唆・保証するものではありません。

(出所)Bloomberg、STOXX社のデータより三菱UFJ国際投信作成


 たとえば「経営の健全性」は財務の健全性に置き換え、資本に占める借入金の割合をもとに判断します。具体的には、有利子負債÷総資本で算出します。「高いキャッシュフロー」は同じくキャッシュフロー収益性。営業活動に用いる資産がキャッシュを生むように有効稼働しているかどうか判断するため営業キャッシュフロー÷事業用資産で算出します。「低い利益変動性」は利益安定性として、利益実績が安定しているかどうか過去を含めた最終利益の振れ幅をもとに判断。当期利益過去5年の標準偏差÷自己資本で算出します。

 具体的なスクリーニングプロセスはこうです。最初に、東証上場3,500銘柄から流動性と時価総額でフィルタリングをかけて、平均ROE以下のものを削除します。最後に、残った銘柄から、そのROEが本当に継続できるのかというスクリーニングを前述の3つのポイントで行ない、上位150銘柄に絞り込みます。

――何だかアクティブ投信のファンド・マネージャー銘柄を選んでいるようですね。
佐々木氏

 そういって頂けると嬉しいです。組み入れ銘柄は年2回見直していきます。上記の銘柄選定プロセスを指数化することによって、信託報酬コストを0.24%と比較的低くして、ご提供することが可能となりました。

【国内株式指数のパフォーマンス比較】
  • 上記パフォーマンスは配当金を考慮していません。
  • リターンは日次騰落率の平均を、リスクは日次騰落率の標準偏差をそれぞれ年率換算して算出しています。
  • 上記は、過去の実績・状況です。本見通しないし分析は作成時点での見解を示したものであり、将来の市場環境の変動や運用状況・成果を示唆・保証するものではありません。計測期間が異なる場合は結果も異なることにご注意ください。
  • 上記は指数を使用しています。指数については【本資料で使用している指数について】をご覧ください。

(出所) Bloombergのデータより三菱UFJ国際投信作成


 パフォーマンスは、本ETFにおけるJPX日経400設定からの2年間のパフォーマンスを見ると、これら2銘柄をアウトパフォームしていることが見て取れます(グラフ参照)。また、2指数に比して本指数がとくにリスクが高いというわけではありません。過去の実績では、ほぼ同じ年率リスクで比較的高めのリターンが期待できる結果となっています。

 この2年間、スチュワードシップ・コード策定(2014年2月)、コーポレートガバナンス・コード原案公表(2015年3月)など、日本企業を取り巻く環境は変化しつつあります。今後も企業のクオリティに着目する動きが注目されていく環境下が継続すれば、本ETFのパフォーマンスは期待できるのではないでしょうか。

――本ETFが標榜するクオリティ(品質)とは、継続的に稼いで株主に還元することが期待できる企業をきちんと選別するということなのですね。
佐々木氏

 そうですね。株式投資の真髄はまさにこの点にあると考えています。なぜ、株式投資をするのか。その答えは、各投資家によって色々な答えがあるでしょう。でも、その根源には、「稼ぐ企業にしっかり投資したい。そして株式の収益を得たい。」という点があると思います。企業収益を株主に還元することが期待できる企業を選別する指標のひとつがROE。そのROEが一過性でないことが大事で、高いROEを継続していくことが企業のクオリティだと考えています。

 そうした企業を本ETFの指数では、自動的に選定していきます。本ETFを保有して頂ければ、クオリティの高い企業のパフォーマンスを期待することが出来ます。ROEに着目しながら、財務健全性とキャッシュフロー収益性、収益安定性という観点でその継続性を定量的に算出して150銘柄に投資する――いわばアクティブ投信のファンドマネジャーの投資スタイルを低コストのETFで可能にするのが、「MAXIS JAPANクオリティ150上場投信」だと考えています。

掲載日:2016年04月11日



   
    

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