株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

【第51回】新コンセプトの「日本株設備人材投資指数ETF」
機関投資家の認知・啓発へ東証がセミナー開催:野村證券

東証ETF・ETN活用プロジェクト [ なるほど!ETF・ETN ]

 

野村企業価値分配指数

野村證券 クオンツ・リサーチ部
エグゼクティブ・ディレクター
清水康弘氏
財務データのみを使用して収益性と還元度を評価

 「野村企業価値分配指数」は、設備・人材投資をさまざまなステークホルダーへの還元という観点でとらえて、収益性と還元度による総合スコア上位銘柄に投資します。基本的には投資に積極的な企業を採用するということです。次に取引可能性を考慮しつつも大型株から中小型株を含めて幅広く投資ユニバースを設定、銘柄選択基準や時価総額によるウエイトづけによって小型株への偏りを排除します。さらに、客観性や正確性を担保するために、一般に入手可能な有価証券報告書の財務データだけを使用しています。

 本指数組成の背景については、株主重視の経営からステークホルダー重視の経営へ、という時代の流れがあります。株主重視の経営では「増配」が非常に評価されてきたわけですが、ただ増配すればよいのかという議論があります。短期的に株価が急上昇する傾向があったここ数年はとくにそうです。

 増配した企業の5年間の売上高成長率を設備投資の大きさ別に比較すると、設備投資をおこないながら増配した企業はその後大きく成長したことが確認できます。これに対して、設備投資をおこなわないで増配している企業は、その後成長していないことが確認されます。すべてそういうわけではありませんが、設備投資を削って利益を高めて増配している企業は、短期的には株価は反応するかもしれませんが長期的には成長につながらないわけです。同じ分析を人件費の観点から分析しても、設備投資とほとんど同じ傾向を示していることがわかります(グラフ参照)。

棒グラフ:設備投資・研究開発費の大きさ別に見た増配銘柄の翌5年売上高成長率の比較
棒グラフ:売上高人件費率増減率の大きさ別に見た増配銘柄の翌5年売上高成長率の比較
(注) Russell/Nomura Prime指数構成銘柄を対象とし、毎年7月末時点において公表されている財務データを基に、まず前年度増配銘柄を抽出する。それらをさらに前年度の総資産設備投資・研究開発費率により5分割したうえで、各グループに属する銘柄のその後5年間の売上高成長率の中央値を比較した。掲載した図表は、1992年から2015年までの各グループの売上高成長率の中央値の全期間平均。

(出所) 野村證券金融工学研究センター

 ステークホルダーへの還元策は基本的に、企業の費用になります。過剰な還元は企業の利益を損ねるので、適切な還元を判別するために本指標では「当期純利益」と「営業利益」の2点から企業の収益性を確認します。当期純利益は企業の最終目標なので確認する必要があります。設備・人材投資の費用は損益計算書の「売上原価」「販管費」の部分に反映されています。したがって、取引先や従業員に対しての還元政策の妥当性は営業利益で判断できると考えます。

使用ファクター表

(出所) 野村證券金融工学研究センター

年1回のリバランスで銘柄の回転率は10%前半

 本指数は基本的に、年に1回(8月)にリバランスをおこないます。「スコア計算対象母集団の選定」「総合スコアによる上位300銘柄の選定」「流動性基準」による最終スクリーニングをおこないます。

 スコア計算対象母集団の選定は、国内の全上場銘柄を対象に時価総額の上位1,000銘柄を選び、そこから過去債務超過3期連続赤字というような企業を除きます。そこから収益性・還元度のスコアを計算して300銘柄を選定、さらに流動性基準による最終スクリーニングをおこないます。過去1年間の売買代金が1,000億円以上などという日銀からの指定があるので、それらに合致する銘柄を絞って確定します。300銘柄を選んだ後にスクリーニングするので、構成銘柄数は300以下で変動します。最終的には浮動株調整時価総額によってウエイトづけをおこない、3%の上限をつけた形で指数化します。

 パフォーマンスは総じてTOPIXをアウトパフォームしています。リターンはTOPIXの+2%程度、標準偏差はTOPIXが18.27%で当指数が17.43%(1992年9月~2016年5月)。やや低リスクで少し高めのリターンという指数となっています。また当指数は300銘柄を選んだ後に流動性スクリーニングをおこなうので、銘柄数がリバランスごとに変動します。足元での銘柄数が265銘柄、ここ2年くらいは250~260銘柄で推移しています。入れ替えは30~50銘柄なので回転率はおおよそ10%前半のイメージです。

 業種ウエイトは東証の17業種からまんべんなく選ばれています。対TOPIXでオーバーウエイトしている業種は自動車、情報通信、電機といったところで、感覚的にも設備投資、研究開発を積極的におこなっている業種ではないでしょうか。アンダーウエイトの業種は銀行を代表とする金融および商社といったところです。

掲載日:2016年07月13日



   
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »