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【第51回】新コンセプトの「日本株設備人材投資指数ETF」
機関投資家の認知・啓発へ東証がセミナー開催:JPX/S&P

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JPX/S&P 設備・人材投資指数

東京証券取引所 情報サービス部長
海野俊一郎氏
設備投資の成長と収益効果を組み合わせた指数

 「JPX/S&P 設備・人材投資指数」の組成にあたっては、以下2つのアプローチを採りました。ひとつめは投資適格性の評価。日銀が今年3月に流動性や信用力、市場評価の安定性、ガバナンスなどの指標を発表しており、それに即したスクリーニングをおこなうことに加え、独自の指標によるスクリーニングも加えています。ふたつめが設備・人材投資の"質"を評価するということです。設備・人材への投資額が大きい銘柄だけを選ぶと、中長期で市場平均に勝てないことがわかっています。投資絶対額ではなく、投資の効率性や充実度、収益への効果など、投資の質を評価して指数を組成しようと考えました。

 では、その投資効率性をどのように判断すればよいのでしょうか。米国ではすでにS&Pが、投資の効率性に着目したS&P500 Capex Efficiency Indexという指数を公表しており、過去10年超のリターンでベンチマークであるS&P500を上回っています。それが日本でもあてはまるのか、S&P JAPAN500をユニバースとして検証してみました。

 設備投資額が増額している銘柄群において、過去3年間における設備投資に対する売上高比率が高い順に4グループに分けてリターン(均等加重)を計測しました。その結果、設備効率性が高いグループが超過リターンをより得ていることが顕著に現れていることがわかりました。つまり、設備投資の成長と収益効果を組み合わせることで、投資を収益につなげる好循環銘柄を選定して指数を構成すればリターン効果の可能性がことが過去の分析から明らかになりました。「JPX/S&P 設備・人材投資指数」は、この考え方をベースに開発しています。

メソドロジーの詳細 表
赤字部分が東証独自の評価項目

(出所) 東京証券取引所

過去パフォーマンス、シャープレシオともに対TOPIXで上回る

 銘柄選択のユニバースはTOPIX。まず、流動性と信用力のスクリーニングをおこなって600~700銘柄に絞ります。次に、ベータ(市場全体との感応度を示すリスク指標)の高い銘柄30%(時価総額ベース)を除外して400~500銘柄にします。これに、「設備投資の成長性」「設備投資の効率性」「人材投資の充実度」という3つの観点でスコア化します。素点をベースにするのではなく、標準正規分布すると仮定してZスコア(データ分布上の相対的な位置づけを示す標準化スコア)を計算、異常値排除などの調整をおこなった上位200銘柄が指数となります。

 スコア評価に関しては、「設備投資」と「人材投資の充実度」という大きく2つの観点で評価しています。「設備投資」は成長性と効率性を見ています。成長性は、直近3期平均の設備投資・研究開発費に比べて、直近期において積極的に設備投資・研究開発をおこなっている企業を高く評価します。効率性は、直近3期累計の設備投資額に対して、直近期の総収益が大きい企業を高く評価します。

 一方の「人材投資の充実度」は、グローバルでESG評価をおこなっているロべコサム社(RobecoSAM)のスコアを活用して、人材投資に関する「人材開発」「有能人材誘致と保持」「労働慣行指針と人権」の3項目を用いて決定しています。同社はアンケート調査を基本にESGスコアをつけており、本指数では毎年同社がおこなっている評価のなかで今回のテーマに即した3項目を引用しています。アンケート調査が基本ですが主観は極力排除され、定量評価ができるように明確な基準を設けるなど工夫されています。

パフォーマンス グラフ

(出所) 東京証券取引所

 本指数のパフォーマンスは過去3年、過去5年、全期間ともTOPIXを上回っています(グラフ参照)。リスクである標準偏差は下回っており、シャープレシオはTOPIXよりリスク量に対するリターンの効率性が高い結果となっています。対TOPIXのインフォメーションレシオ(IE)も概ね0.5を上回っています。過去のパフォーマンスによるリターン分析では、ベータでのスクリーニングと設備投資の評価部分に大きなリターン効果があることがわかりました。GICSという業種区分を用いて業種バランスを見ると、TOPIXより多い業種は、医薬品を含むヘルスケア、電気通信サービスなど。逆に少ない業種は金融や情報技術などとなっています(2015年9月30日現在)。

掲載日:2016年07月13日



   
    

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