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【第53回】配当利回りに着目したETFが上場。 新たなスマートベータ型指数への連動を目指す

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 野村アセットマネジメントは今年2月、『NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信』を東証に上場した。愛称は「日経高配当株50ETF」(銘柄コード:1489)。このETFは日経平均株価(日経225)の構成銘柄のうち、予想配当利回りの高い原則50銘柄で構成される新しい株価指数「日経平均高配当株50指数」への連動を目指す。組成・設定のねらいについて、同社金融法人部ETF担当シニア・マネージャーの奥山修氏に聞いた。

日経225から予想配当利回りが高い50銘柄を抽出

 『日経高配当株50ETF』の特徴は大きく3つある。①日経225から予想配当利回りが高い50銘柄を抽出②銘柄の構成比率は配当利回りウエート方式を採用③結果として、市場平均より高い配当利回りが期待できる――である。野村アセットマネジメントの奥山氏は、3つの特徴について以下のように説明する。


野村アセットマネジメント
金融法人部 ETF担当シニア・マネージャー
奥山 修氏

 「構成銘柄の母集団が日経225採用銘柄であるという点で、多くの投資家にとって認知されやすく・分かり易いのではないでしょうか。日経新聞の証券面では毎日『クローズアップ日経平均株価』という記事で、225銘柄すべてのPER(株価収益率)や予想配当利回りなどを詳報しています。組み入れ銘柄への関心が高い投資家にとって馴染みがあって直感的にわかりやすいと思います。50銘柄という銘柄数も、適度に分散しつつも全体を把握・管理しやすい数ではないでしょうか。銘柄は年1回、6月に見直し・入れ替えをおこないます」。

 「配当利回りウエート方式は、配当利回りが高い銘柄の組入比率が高くなります。最近の長引く低金利環境では、株式投資から得られる利回りは無視できません。債券投資に比べればリスクは高いですが、現在の投資環境のなかで相対的な魅力は大きくなります。当社では配当利回りに着目したETFとして『野村日本株高配当70ETF』(1577)を既に設定・運用していますが、これは全上場銘柄を対象に配当上位70銘柄を等比率で組み入れているので、今回上場させた日経高配当株50とは母集団とウエート付けが異なります」。

「結果として、市場平均よりも高い配当利回りが期待できます。指数を開発・公表している日本経済新聞社では、この指数ベースの予想配当利回りを毎日公表しています。直近では2.98%(2/20現在)で3%弱、日経225は同じく1.72%となっており、1%ほど高い利回りになっています。超低金利環境下で1%の差は大きいのではないでしょうか。本ETFは現物設定型なので、決算時には費用控除後のインカム収入がすべて分配されます」。


【日経高配当株50ETFの予想配当利回りの推移】

*各年6月末時点。予想配当利回りは日経業績予想データに基づく。指数ベース。
(出所)日本経済新聞社のデータ等を基に野村アセットマネジメント作成

- 上記は過去のデータであり、将来の投資結果を示唆あるいは保証するものではありません。 -

(出典:野村アセットマネジメント)

資産形成のための長期保有を考える選択肢として

 当然のことながら株価の値動きはあるが、投資家は長期保有で定期的なインカム収入が期待できる仕組みといえる。「日経225の配当モノ」というとらえ方が可能で、投資家と販売する証券会社の"共通言語"になりやすいだろう。50銘柄という組み入れ銘柄数は、リテラシーの高い個人投資家なら値動きなどを自己管理することも可能な範囲と思われる。

 なぜいま、配当に着目したETFなのか。奥山氏は「投資家の皆さまの選択肢を増やすことはどんなときも重要」としながら、投資と企業経営の両面における時代のニーズが大きなテーマになっていると話す。

 「いまは投資も企業経営も『株主還元』が時代の大きなテーマになっており、求められる水準も年々上がっています。日本を代表する企業にまとめて投資しながら、安定的な配当収入を得ていく考えは株式投資のスタイルとしては十分合理的。積立NISAなど制度的な後押しもあることですし『資産形成していくうえで、長く安心して保有できる金融商品は何だろう』という疑問に対する答えのひとつとして、株式投資におけるインカム収入に期待するのは間違いではありません。高配当株関連の金融商品は他社も含めて一定以上の残高を集めており、潜在的なニーズは多いと考えています」。

 機関投資家のニーズもあるだろう。貸出は伸びず米国債もトランプ相場で金利が上がり、とくに地域金融機関は運用難といわれて久しい。「株式で一定のエクスポージャーを取りながら安定的なインカム収入を得ることができれば、TOPIXと比較して高い期間収益が期待できます」(奥山氏)。

高配当指向のスマートベータ型指数は馴染みやすい

 本ETFが連動を目指す「日経平均高配当株50指数」は高配当銘柄の投資成果をより鮮明に映すことを目的としたスマートベータ型の株式指数である。ROE(自己資本利益率)を重視したJPX日経400インデックスをはじめとして、数年前から同種指数に連動する金融商品が登場してきた。奥山氏は「モダンポートフォリオ理論に準じて資産配分して日本株は半ば自動的にTOPIXへ、という考え方に風穴と開けたという意味で大きな意味がありました」と評価する。

 その一方で、「スマートベータ型株式指数は、現在もまだ実証段階にあると思っています。『金利が下がったら配当株』など、配当株を活用した投資戦略は昔から存在します。これは、ある意味の割安優良株投資のようなもので、過去の経験で実証されています。つまり、高配当指向のスマートベータ型指数はこれまでの投資戦略に当てはめやすく馴染みやすいということです」と奥山氏。

 「スマートベータを活用した投資戦略の本格普及には、米国IFA(独立系金融アドバイザー)のような預かり資産ベースの資産管理体制の確立が待たれるでしょう」と奥山氏は分析する。専門的な知見から相場環境や顧客のリスク志向などを正しく把握し、顧客の預かり資産を最大化することでコミッションを得る仕組みの浸透が条件となるという。そのような環境になってはじめて、「投資商品の選択肢、ツールのひとつとして本ETFのニーズが本格的に高まるのでは。いつそうなるか断言はできませんが、少なくとも資産運用の先頭を走る米国ではそのような流れになっています」。

ポートフォリオにおける日本株のあり方を再確認するきっかけに

 「日経高配当株50ETF」の上場は投資家の円資産、なかでも日本株の保有の仕方を再確認するきっかけになるだろう。たとえば、多くの日本人は外貨建て資産に投資する投信で相対的な高リターンを追求しつつも、資産ポートフォリオの中心は円資産、日本株が中心になっている。その中身も、アクティブ投信は何割なのか、パッシブ投資は何割でTOPIXなのか日経225なのか。それで自分は本当に納得しているのだろうか。

 たとえば、日本株ポートフォリオの一部を本ETFによる高配当=割安株投資に近いスタイルを取り入れることを考えてみたい。

 「本ETFは日経225のなかから選ばれた高配当銘柄群。私は、これまでETF投資が未経験の方にも検討に値するETFだと考えています。銀行で投信しか保有したことがない投資家が証券口座を開いて最初の金融商品として考えたときにも、比較的分かり易く納得して保有できるETFではないでしょうか」と奥山氏は話している。「日経高配当株50ETF」は、ETF市場が30~40代の資産形成層に受け入れられるかどうかの"起爆剤"の役割が期待されているようだ。

掲載日:2017年3月9日



 
   
    

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