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【第18回】野村證券がETFの販売を本格化――なぜ、今、ETFなのか 東証ETF

 

東証ETF・ETN活用プロジェクト [ なるほど!ETF・ETN ]

【第18回】

ETFプロバイダーに聞く――野村證券

野村證券がETFの販売を本格化――なぜ、今、ETFなのか

野村證券がETFの販売に本格的に乗り出しました。同證券では昨年12月にETFマーケティング・グループというETFの専門部署を設立。ETFの認知度をアップさせて投資家資金を呼び込み、国内ETF市場の活性化への貢献を目指すとのことです。同グループの塩田誠グループ長に今後の販売戦略などについて話を聞きました。
金融商品を販売する金融機関でETF専門の部署があるのは珍しいですね。具体的にどのような活動をしているのですか。
野村證券ETFマーケティング・グループ長塩田誠氏
野村證券ETFマーケティング・グループ長
塩田誠氏
投資家層を運用のプロである“機関投資家”と、個人投資家を主とする“営業店のお客様”に大別して、それぞれのお客様のニーズに見合った商品提案をしています。
ETFの委託取引に占める投資部門別売買シェア(東京証券取引所・金額ベース、グラフ1参照)では、機関投資家の比率は1割強です。比率が低水準に止まっている理由の一つとして、投資信託や年金資金の運用機関など、最終投資家の受託資産を運用する投資家がETFの活用を躊躇していることなどが考えられます。
(グラフ1)東京証券取引所の投資部門別ETFの売買状況 (金額ベースの構成比) (グラフ1)東京証券取引所の投資部門別ETFの売買状況
※出所:東京証券取引所
※自己、委託の比率は資本金30億円以上の取引参加者の総売買代金(売り買い合計別)に対する構成比。法人、個人、外国人のシェアは委託売買代金(売り買い合計別)に対する構成比。
※外国ETFは含まない。
しかし、この数年で世界的にETFの商品ラインアップが多様化したため、例えば年金資金の運用で金現物への投資は実質的に不可能ですが、ETFなら代替することが可能です。機関投資家の潜在需要は大きいとみており、今後はさらに力を入れていく方針です。また、当部署では国内に限らず海外の機関投資家も視野にグローバルな活動を目指しています。
一方、個人投資家層については現在、ネット経由での取引が多いと推測され、営業店での対面販売を通じたETFの取引はあまり活発ではなかったように感じます。このため、この分野も今後の開拓余地が大きいとみています。
2001年のETFの本格スタートから既に約10年が経過しています。なぜ、今、ETFに注目するのでしょうか。
私は2007年に野村アセットマネジメントの金価格連動型ETFの設定・上場に携わりました。その後3年が経過して国内の上場銘柄数は当時より増えはしたものの、残高は伸び悩み、売買金額もほぼ横ばいです(グラフ2参照)。これは商品ラインアップの問題だけではないと思い、ETFの商品性や活用法をもっと広めるべきだと考えました。
(グラフ2)国内ETFの残高と銘柄数の推移
(グラフ2)国内ETFの残高と銘柄数の推移
(グラフ2)国内ETFの残高と銘柄数の推移
ETFの投資魅力を挙げると。
野村證券ETFマーケティング・グループ長塩田誠氏
たとえていうなら、ETFは選ぶ(E)楽しみ(T)があるファンド(F)。なぜかというと、世界には約2400銘柄ものETFがあるからです。例えば、債券価格の値動きを捉えるETFと一口にいっても、連動投資対象が中期債や長期債など様々で、投資家は各自の投資判断・テーマに見合ったETFを見つけることができると思います。さらに、ETFの商品性について、投資対象指数への連動を目指すという理解しやすい仕組みであることも魅力の一つです。
また、ETFは世界の著名なヘッジファンドが活用しているだけでなく、国内では日本銀行が金融緩和策としてETFを買い入れてます。つまり、プロの目にも適った金融商品といえるのではないでしょうか。
今後のETFの販売戦略を教えて下さい。
当社では現在137銘柄(国内上場93銘柄、海外上場44銘柄)のETFを取り扱っていますが、さらなる取扱銘柄の拡充を図ります。国内債券市場などの値動きを捉えるETFがまだありません。米国のETF市場でリーマン・ショック後に最も資金が流入したのは債券のETFです。国内債券ETFにも需要はあると思います。
投資家に対しては各投資家層に応じた商品提案をします。個人投資家についてはセミナーなどを通じてETFの魅力を説明するなど、まずは認知度アップを図ります。さらに、これまで手薄になっていた個人投資家への対面販売に力を入れ、直に投資家と接することで資産運用の必要性やポートフォリオ運用の有効性を唱えていく中でETFを提案していく方針です。
国内ETF市場の活性化に必要な要素は何でしょうか。
米国を筆頭に海外ではETFの取引が活発です。例えば、米国の代表的株価指数であるS&P500種株価指数に連動するETFの1日当たりの売買金額は2兆円と、この1銘柄だけで東京証券取引所(1部、2部、マザーズの合算値)の売買金額を上回ることもあります。これは米国国内の投資家だけでなく、海外投資家の資金も流入しているからです。
(グラフ3)米国ETFの残高と銘柄数の推移
(グラフ3)米国ETFの残高と銘柄数の推移
(グラフ3)米国ETFの残高と銘柄数の推移
野村證券ETFマーケティング・グループ長塩田誠氏
日本でも海外投資家の資金を積極的に取り込むべきではないかと思います。そのためにはまず、海外投資家にとって魅力があるETFを揃える必要があります。例えば、日本の取引所の地理的特性を活かして、アジア市場の値動きをタイムリーに反映したアジア株のETFや、アジア債券のETFなどアジア諸国・地域を投資対象とした商品なら優位性があると考えます。そのほか、簡単ではないことを十分承知しておりますが、海外投資家の利便性向上のために国内ETFの米ドル等での決済、もしくは米ドル建てでの価格の表示が実現できれば海外投資家の資金流入に弾みがつくかもしれません。
また、海外のETF運用会社が彼らのETFを国内の金融機関で取り扱う場合、外国投信の届出が必要で、そのための費用がかかります。このため、海外運用会社は届出に二の足を踏むという声も聞きます。さらに、国内上場ETFは個別株の取引と同様に乗り換え(保有するETFを売って別のETFを買うこと)をしても問題ありませんが、外国上場ETFの場合は投資信託と同様に乗り換えの前に、金融商品取引法に基づいた個人投資家への説明が必要になります。しかし、このような規制は投資家サイドに立てば、柔軟なポートフォリオ変更の機会を阻害する要因になっているかもしれません。端的に表現すると、国内上場ETFとイコールフッティングになっていないのです。
現在、香港やシンガポールの取引所もETFの新規上場に力を入れていると聞きます。国内ETF市場の活性化のためにも、両国に見劣りしない優位性のある商品ラインアップ、銘柄数、そして制度などが必要だと思います。
掲載日:2011年月01月27日/株式会社QBR


   
    

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