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【第36回】日経平均株価の"恐怖指数ETN。変化の波頭をとらえて大きな収益を狙う! 東証ETF

 

東証ETF・ETN活用プロジェクト [ なるほど!ETF・ETN ]

【第36回】

野村證券・清水久未氏に聞く

日経平均株価の"恐怖指数ETN"。
変化の波頭をとらえて大きな収益を狙う

 
野村グループは4月、5本のETN(Exchange Traded Note=上場投資証券または指標連動証券)を東証に上場、提供を始めた。日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)を原指数とする「NEXT NOTES 日経平均VI先物指数ETN」(2035)と、同じく日経・東商取金指数の「NEXT NOTES 日経・TOCOM 金 ダブル・ブル ETN」(2036)「NEXT NOTES 日経・TOCOM 金 ベア ETN」(2037)。日経・東商取原油指数を原指数とする「NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ダブル・ブル ETN」(2038)「NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ベア ETN」(2039)だ。今回は、「NEXT NOTES 日経平均VI先物指数ETN」について、野村證券ETFマーケティング・グループのNEXT NOTESマーケティング・ヘッドである清水久未氏が解説する。
原指数 銘柄名 銘柄コード 連動対象指標 管理費用
日経平均VI NEXT NOTES 日経平均VI先物指数 ETN 2035 日経平均ボラティリティー・インデックス先物指数 年率0.95%
日経・東商取金指数 NEXT NOTES 日経・TOCOM 金ダブル・ブルETN 2036 日経・東商取金レバレッジ指数 年率0.80%
NEXT NOTES 日経・TOCOM 金ベア ETN 2037 日経・東商取金インバース指数 年率0.80%
日経・東商取原油指数 NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油ダブル・ブルETN 2038 日経・東商取原油レバレッジ指数 年率0.80%
NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油ベア ETN 2039 日経・東商取原油インバース指数 年率0.80%
投資判断のシグナルは「日経平均VI」
清水氏 野村證券ETFマーケティング・グループ
NEXT NOTESマーケティング・ヘッド
清水 久未氏
野村グループが4月から提供を始めた「NEXT NOTES 日経平均VI先物指数ETN」(2035)が連動を目指しているのは、日経平均VI先物指数だ。これは、2012年2月から大証に上場している日経平均VI先物を対象にして、期近限月と期先限月のウエートを日々調整しながら仮想的に満期1カ月の日経平均VI先物価格を合成し、その先物価格の日々の変動率に連動するように設計された指数である。
「日経平均VI先物の取引対象は、日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)。日経平均株価の将来1か月先の変動率を、マーケット参加者である投資家がどう予想しているかを日経平均先物と日経225オプションの価格をもとに算出した指数です。ポイント(%)で表され、その値が高いほど投資家が今後、相場が大きく変動すると見込んでいることを意味します。いわゆる日本版の『恐怖指数(VIX指数)』です。本ETNの投資にあたっては、日経平均VIがシグナルになります」と、野村證券の清水久未氏。
日経平均VIが「NEXT NOTES 日経平均VI先物指数ETN」の値動きのシグナルになる理由は、日経平均VI先物指数の水準感(レベル感)がわかりづらいからだ。日経平均VI先物指数は、日経平均VI先物の期近と期先の2つの価格から計算されるため、その価格差によって長期的に減価する傾向がある。絶対水準での割高・割安の判断が難しいわけである。
「高い変動率」と「平均回帰性」が値動きの特徴
日経平均VIの値動きは、大きく2つの特徴をもっている。
1つ目は、日経平均株価と比べて変動率が高いということ。通常は20~30ポイント程度のレンジで推移しているが、日経平均株価が急落するような場合に日経平均VIは逆に急騰する特徴がある。
「ここ数年でもっとも上がったのは東日本大震災のとき。2011年3月15日に69.88ポイントまで急騰しました。リーマン・ショックの際には、史上最高値の92.03ポイントをつけました。いずれも数日間で通常の2~3倍以上まで跳ね上がりました。現物株式のストップ高・ストップ安では追いつかないスピードです。この点が投資妙味でありかつ、ハイリスクでもあるところです」(清水久未氏)
2つ目が、平均回帰性である。急騰した後は20~30ポイントのレンジに戻ってくる特徴がある。
「平均回帰性の特徴を利用して売買する方法もあります。たとえば、日経平均VIが20ポイントを割っているような水準に買っておいて、30ポイント程度の水準になったら調整する可能性が高まっていると判断して売却するなど、日経平均VIを本ETNの投資判断シグナルとして利用することができます。」(同)。
個別銘柄による株式投資はシンプルでわかりやすい一方、株価は企業業績などに影響を受け、株価水準が明確ではない面もある。日経平均VI自体はイベントリスクを除けばボックス圏で推移する特徴があるため、投資判断がしやすい。
日経平均VIの最近の傾向としては、「10%台に落ちることは少なく、10%後半になると跳ね上がる動きが見て取れる」(清水氏)という。将来1カ月先の株価変動率を示しているので、株価の上昇要因も下落要因も日経平均VIを上昇させる材料になる。足元の株価上昇要因となっているアベノミクス効果や黒田・日銀による"異次元緩和"などの影響が大きいと見るマーケット参加者が多いことを示し、日経平均VIは上昇傾向にある。


出典:野村證券


出典:大阪証券取引所

恐怖指数ETNでショックイベントによる資産減少をヘッジ
「この夏の参議員選挙は、その結果はともかく『NEXT NOTES 日経平均VI先物指数ETN』にとって興味深いイベントになるのでは」と清水氏は指摘する。
「選挙の結果によっては、ボラティリティ―が上がる要因になる可能性があります。自民党が大勝するようなら、アベノミクス政策にまい進できることから株価上昇要因としてボラティリティーが上がるでしょう。逆に負けたら失望売りのスパイラルが起きて、これもボラティリティーが上がる。どっちに転んでも波乱が起こる可能性がありますね」。
「NEXT NOTES 日経平均VI先物指数ETN」は経済や政治、またはパンデミック(世界的大流行)など、予測が難しいイベントのリスクヘッジとして活用することができそうだ。
「最近は経済に限らず、事件や事故などの予測できない世界的なショックイベントが目立っています。欧米ではその対処法として、VIXに連動するETN/ETFを保有することでポートフォリオ全体の値下がりリスクを軽減させる手法や、VIX関連商品を組み込んだ金融商品も用意されています。テールリスク(発生確率は小さいがそれが生じると大きな損失が生じるリスク)をヘッジしながら収益を狙うわけですが、このような戦略は本ETNでも十分に可能です」(清水氏)。
実際にVIXの短期先物指数に連動するETNが米国にあり、2013年3月の平均売買代金は1,000億円/日を超えているほど(※)。海外ではメジャーな種類のETNということができるだろう。
(※野村證券調べ)
プロの市場参加者の見方を情報として活用
「日本の金融商品取引所にはVIXを原指数としたETN/ETFは他にもありますが、現状ではすべて米国のS&P500を対象とした指数です。ボラティリティの大きさが魅力の一つでもあるわけですが、時差の関係でリアルタイムに値動きをとらえて売買することはできません。また、そもそも米国と日本のマーケットの変動要因は異なるケースがあります。日本で株式投資をしているのであれば、日経平均VIを原指数としたETNの方が、合理的であり、収益獲得の機会を狙いやすいのではないでしょうか」(清水氏)。
日経平均VIは前述の通り、オプション価格などをもとに算出されている。日経平均VIが上昇しているという事実は、今のオプション価格の変動が、市場参加者の予想変動率の上昇に起因していることを示している。つまり、日経平均VIの値動きは、より専門的なプロの投資家の将来の相場に対する見方が反映されていると考えられ、それは非常に重要な投資情報と見なすことができよう。
「日経平均VIはオプション取引を体感温度で、つまりマーケット全体の予想をそのまま示しているといえます。個人投資家がその変化に敏感になることで、既存の株式投資にもっと有益に活用できるはずです。たとえば、株価が上がり過ぎた場合などに外国人投資家等は価格変動リスクのヘッジのためにプット・オプション(ある価格で売る権利)を買い付けたりします。このような投資行動はニュースで報道されることはありませんが、日経平均VIには、それが値動きとして現れたりします。仮に日経平均VIが数日で5ポイントくらい動いたようなときは、まだ見えない何かが相場に織り込まれている可能性があり、そのようなタイミングで、本ETNを活用することもできます」(清水氏)。
なお、「NEXT NOTES 日経平均VI先物指数ETN」はJDR(信託受益証券)形式で東証に上場しており、一般の株式のように全国の証券会社やネット証券で売買できる。外国証券取引口座は不要で特定口座が利用可能など、日本株式と同じ感覚で売買できる。現在は制度信用取引の「買い」のみとなっており、信用売りができないので「売り」から入ることはできない。値動きが激しいことからから、「NEXT NOTES 日経平均VI先物指数ETN」は投資経験の豊富な投資家に向いた商品といえよう。
(参考コンテンツ)
ETNの基本的な仕組みについては、Fanet MoneyLife「ETNの基礎」で詳しく解説しています。
Fanet MoneyLife(掲載日:2013年05月17日)


   
    

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