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クロス取引とは?有名な「優待クロス取引」のメリットや気をつけるべき点などわかりやすく解説!

 

クロス取引とは「同一銘柄・同一数量の買いと売りの注文を同時に行い、同価格で約定する取引」になります。買い付けた銘柄・数量を同タイミングで売却する取引に意味があるのか?と思うかもしれません。個人投資家の間ではクロス取引の1つの手法として、「優待クロス取引」が活発に利用されています。これは、株価変動リスクを最小限にして、株主優待の権利を確保する手段として、広く知られています。注意点も踏まえつつ、覚えていきましょう。

クロス取引とは?

クロス取引とは「同一銘柄・同一数量の買いと売りの注文を同時に行い、同価格で約定する取引」になります。1人の投資家だけ、投資家同士、投資家と証券会社など様々な形でクロス取引は実施されます。クロス取引は様々な理由で実施されますが、一番有名なクロス取引が「優待クロス取引」になると思います。

優待クロス取引とは?

投資家(特に個人投資家)で実際に利用するクロス取引として、最も有名な取引が「優待クロス取引」となります。個人投資家による「優待取り」の手法として、特集が組まれることもあります。

優待クロス取引は、「1人の投資家だけ」が、「現物買いと信用売りでクロス取引」を実施する取引になります。

優待クロス取引とは

優待クロス取引のポイント

優待クロス取引を実施するには、3つのポイントを覚えましょう。

1つ目は、株主確定日となる基準日に株主優待の権利が付されている銘柄を選択すること。株主優待銘柄について、権利付き売買最終日までに「現物買いと信用売りのクロス取引」を約定することで優待クロス取引を実施したことになります。

2つ目は、優待クロス取引で買い付けた株式(現物)を基準日まで保有すること。基準日に株式(現物)を保有していることで、株主となり、株主優待の権利を得ることができます。

3つ目は、基準日を越えたら、信用売りの返済として、「現渡し(買い付けた株式(現物)による返済)」を実施すること。現渡しをすることで優待クロス取引を終了したことになります。基準日を越えるのは決済日ベースとなる点に注意が必要となります。

この3つのポイントを覚えていれば、「優待クロス取引」は実施できます。

優待クロス取引のポイント

優待クロス取引のメリット

優待クロス取引が個人投資家の間で活発に利用されるには理由があります。それぞれ見ていきましょう

中長期間で株式(現物)を保有せずに、短期間の保有で株主優待の権利を得られる

中長期間で株式(現物)を保有する場合は、様々な要因のリスク(価格変動リスクを含む)を同期間で負うこととなります。しかし、権利付き売買最終日までに優待クロス取引を実施し、権利落ち日以降に「現渡し」を実施することで、短期間(最短1営業日)で、かつ、価格変動リスクを抑えて株主優待の権利を得ることができます。

※「優待クロス取引」では、価格変動リスクを抑えることができることは次に説明します。

株価変動リスクを抑えて、株主優待の権利を得られる

現物の買いと信用の売りを同時に実施し同額で約定していることから、株価上昇時には買いの含み益と売りの含み損が同額発生し、株価下落時には買いの含み損と売りの含み益が同額発生することとなり、株価の変動リスクを抑えること(ヘッジすること)ができます。

※価格変動のみに着目し、その他のコスト(金利等)は含んでおりません。
※今回はクロス取引としてご紹介していますが、リスクヘッジの取引手法としても同様になります。

優待クロス取引で気をつけるべきポイント

優待クロス取引は大変魅力的な取引ですが、気をつけるべきポイントがたくさんあります。取引タイミングを間違えると、取得できる株主優待の権利以上のコストが掛かるケースもありますので、注意が必要になります。

信用売りができる銘柄であること

クロス取引の大前提でもありますが、信用売りができる銘柄を選択する必要があります。信用売りは一般信用でも制度信用でも問題ありません。一般信用と制度信用の違いについては、取り扱い銘柄範囲、コスト(金利および逆日歩など)や制限措置等の有無などがありますので、情報を適切に把握する必要があります。

制度信用取引の場合は、貸借銘柄に選定されている銘柄が、制度信用売りが可能です。しかし、日本証券金融株式会社(以降、「日証金」とします)より申込停止措置等が発表されていると新規売りが不可能となります。日証金のWebサイト等で確認する必要があります。また、一般信用取引は各証券会社が取り扱い銘柄を日々公表しておりますので、実際に取引を行う証券会社のWebサイト等で確認する必要があります。

不正取引になる可能性がある

クロス取引を過度に実施することは、「相場操縦」に見做される危険性があります。相場操縦は、金融商品取引法で禁止されている行為となりますので、最大限の注意が必要です。

ザラ場でのクロス取引は法令で禁止されている「仮装売買」と見做される可能性があるため、「寄付き」および「成行」で注文をすることが望ましいとされています。クロス取引の注文については、証券会社ごとに制約を設けている場合があります。事前の確認をお勧めいたします。

逆日歩

制度信用取引の場合、信用売りを約定し、日を跨いで売り残高を保有すると、逆日歩と呼ばれる株券調達に伴うコストを負う可能性があります。信用売りは、株式を借り入れて売却する取引ですので、貸借残高が貸株超過(貸株残高>融資残高)となった場合に、日証金が翌営業日に入札方式で株式を調達し、これにより決定した株式の借入料である逆日歩を制度信用取引の売り残高保有者がコストとして約定してから返済するまでの間、日々負担することとなります。逆日歩は信用売りを行った後、事後的に決まりますので、結果として優待クロス取引をして得る株主優待の価値より高いコスト(逆日歩)となる場合もあるので注意が必要です。

配当金はもらえない

優待クロス取引を実施することで、基準日時点で株式(現物)を保有することから、株主優待と合わせて配当金が発行会社から支払われます。しかし、基準日時点で信用売り残高も保有しているため、信用取引の配当金処理として、売り残高保有者は残高に応じて配当金相当額を証券会社に徴収されます。このため優待クロス取引で配当金を丸々取得することはできません。

株主優待の条件に注意

株主優待には、保有期間に関わらず基準日時点の株主に一律付与されるものの他に、中長期間継続保有していることを条件に付与されるものもあります。後者の株主優待銘柄を選択して、誤って短期間の優待クロス取引を実施しても、株主優待は付与されませんので、確認が必要です。

近年は株主優待の条件を変更する発行会社も増えてきておりますので、最新の情報を取得するようにしましょう。

まとめ

クロス取引の中でも個人投資家に人気の「優待クロス取引」について、説明しました。大変魅力的でメリットもある取引手法ですが、気をつけるポイントも多くあります。しっかりと適切な情報を把握して、正しい知識でリスクを最小限にして臨みましょう。過去の情報(逆日歩の発生状況など)を参考にしてみてもいいかもしれません。

監修:日本証券金融株式会社

   
    

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