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第2回 はじめての運用なら、「投機」ではなく「投資」をしよう - はじめての人の投資知識

はじめての人の投資知識

 

「投機」と「投資」はどう違う?

「投機」と「投資」はどう違う?と聞かれてすぐ答えられる人はほとんどいないでしょう。どちらも同じような意味で使われることが多いからです。

投資については前回のコラムで、資本を提供し企業の発展や社会の発展を通じ、お金を増やす仕組み、と説明しました。あなたのお金は、あなた自身を豊かにするだけではなく、いろんな人も豊かにできる、つまり「win-win」が成り立つのが投資というわけです。

「投機」とは、他者との見立ての違いに着目し、ポジションを取るような方法のことです。みんながA社の株は下がると考えており、株価がぐんぐん下がっているとします。このとき投機的な運用をする人は「A社の株はここまで下がらないだろう」と考え、あえて全財産を使って株を買い集めます。株価が回復すれば投機は成功し安く買った株の値段は戻り大もうけできます。しかし、見立てが外れてA社が倒産すれば全財産が紙くずになる、という感じです。

外国の通貨を購入したり、円を買い戻す為替取引も投機的です。円高や円安を予想して外貨を買うとき、外貨を売ってくれた相手はあなたと逆の予想をしているからです。同じ期間だけみれば円高か円安のどちらかになりますので、どちらかの人は得をし、どちらかは損をします。誰かの損は、誰かの得というのは投機的です。

「投機」においては外れた人がゼロになることもしばしばです。ギャンブルも宝くじで外れた人にはお金がまったく戻ってきませんが、それが数少ない当選者の高額当選金の原資になっています。

「投機」に基本的に共通しているのは「win-win」ではなく「winner-take-all」(勝者総取り)ということでしょう。そう考えてみると、投機と投資の違いが見えてきます。

ギャンブルと「投資」の違いを理解しよう

よく、資産運用のことを形容して「ギャンブルのようなもの」といいます。確実性がない、という意味合いなのでしょうが、実際のところ、ギャンブルと投資は大きく異なります。

ギャンブルがもっとも大きく投資と異なるところは、「胴元」がいるかどうかでしょう。ギャンブルには必ず胴元が存在して、一定の利得を確保します。これは不法なギャンブルでも公営ギャンブルでも同じで、賭け金をとりまとめ、当選者に配当する仕事を担う代わりに、手数料として賭け金の一部を得ます(いわゆるテラ銭)。一般的に胴元が一番儲かるのがギャンブルで、公営ギャンブルでも25%~50%は胴元となる実施団体の収益となります。

それでは、投資には「胴元」はいないのでしょうか。投資も売り買いをする株式市場があります。東京証券取引所というのがニュースでよく写りますが、これは胴元的役割を果たしているものの、投資家から投資資金の数割を徴収するようなことはありません。個人が株を売買したとき、証券会社に売買手数料を払いますが、証券会社が東証に対してサービス接続の費用を払っているものの、個人が投資元本の内枠でお金を引かれることはないからです。

また、投資はギャンブルのように、一気に決着がつくようなことはありません。競馬ならレースが終了した瞬間、宝くじなら当選結果が公表された瞬間、プラスの人とマイナスの人ははっきり白黒がつきます。しかし、投資は異なります。株式相場がある瞬間終了して、勝者と敗者に分かれるといった構図はありません。なぜなら社会は日々動き続けているからです。

よく投資に失敗したケースを「紙くずになる」といいますが、実際の投資においては上場廃止まで何日もあるためゼロ円になることはまずありません。いきなり破たんしたとしても、債権者や株主には残余財産の分配が行われ、これまたゼロになることはありません。これもギャンブルと投資を混同している故の間違った言葉です。

そして、(何度も繰り返しますが)投資は「winner-take-all」の仕組みではありません。勝者総取りではなく、誰もが少しずつ豊かになることのできる仕組みなのです。

「投機」的な「投資」もあるのも事実

とはいえ投機と投資が厳密に区分されているわけではありません。「投機的投資」が存在するのも事実で、話は少しややこしくなります。

株式投資も短期的な売買をする人は中長期的な経済成長の果実ではなく、短期的な株価の値動きで儲けていくため、投機的な売買といえます。先ほどの例でもT自動車のハイブリッドカーが開発から市場を確立するまで10年以上かかりました。しかし、数分あるいは数秒で売買を行うような「投機的」株式投資はそうした苦労は関係なく利益が生じます。これも投資のひとつの形です。

株価などを材料にしたオプション取引の一部には、見立てが外れると全額を失い、見立てが当たった人は2倍になるような取引もあります。胴元のような存在があって、受付と支払いを行います。株式を対象としてはいますが、これもまた投機的です。

外貨での投資は為替が介在するため、投機的要素があいだにクッションとして挟まることになります。どんなに純然たる思いで新興国企業を支援する投資をしても、為替に運用成果は影響を受けることになります(ただし為替レートも長期的には二国間の金利差や経済力の差などにより決まるため、ギャンブルだけで決まるわけではない)。

「投資」と「投機」の区別を厳密にしようとしても、実はあまりうまくいきません。むしろ「いい投資」をしなければならないと身構えすぎるほうがよくないのです。投資も現実の社会の縮図です。清濁併せのむ感覚で応じていくことが必要です。

初めての運用なら「投機」でなく「投資」しよう

さて、資産運用をスタートしようとする人の多くが、「為替(FX)」「デイトレード」などに興味を持ちます。しかしこれらの多くは投機的な手法であり、リスクも大きくなります。初心者が初めての投資を行うにはハードルの高い方法です。

投資をこれからスタートさせる人にはぜひ「投資」からスタートしてほしいと思います。経験もなくいきなりリスクの高い投機的な投資にチャレンジするのは無理がありますし、投機を組み入れなくても十分に資産運用は可能です。

投資をすると世界が大きく広がります。また自分のお金が誰かを支え、かつ銀行よりもいいペースで増えていくなんてこれも不思議な感覚を楽しめます。まずは無理のない金額で「投資」をしてみてはどうでしょうか。

執筆:フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャル・プランナー/山崎俊輔
掲載日:2014年3月4日

   
    

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