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第5回 60代のNISA活用のポイント ~年金生活に入っても無理なくNISAを活用しよう! - 世代別NISA活用術

世代別NISA活用術

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「NISAに年齢制限はない!」

世代別のNISA活用方法も、年金生活世代まできました。60歳以降の世代におけるNISA活用方法について考えてみたいと思います。

一般に高齢者は投資をオススメされない世代でしたが、現実として判断力も有し、投資意欲も旺盛な年金世代が増えており、少なくとも60歳代は投資適格世代となってきています。退職金を手にして管理すべき資金も高額になる一方で、20年以上にも及ぶセカンドライフの資産管理を考えればリスク資産の購入も選択肢として必要になってくるからです。

NISAは「20歳以上の国内居住者」が口座開設条件であり、利用できる年齢の上限を設けていません。70際でも80歳でも特に利用の制限が生じないことになります。これは、高齢者にとって大きなメリットです。財形年金や確定拠出年金、あるいは会社が提携しているグループ保険等は現役世代しか利用できない仕組みだからです。

財形年金は5年以上の積立が必要なため、55歳以上では利用できません。確定拠出年金は60歳までしか加入できないため、60歳以降は運用のみを行い受け取り側に回ります(2014年1月より労使で定めれば65歳まで加入可能になる予定)。

NISAは現役世代、特に所得がまだ高くない層の「初めての投資」の受け皿になることを期待されていますが、年金生活者が利用してはいけないという理由はありません。何せ、運用益非課税のメリットが得られるわけですから、これを利用することは合理的です。ここでは、年金生活世代にとってのNISA活用方法を考えてみましょう。

「年金生活者のリスク許容度が下がっていることは留意した投資判断を」

NISAを活用してどのような資産運用を行うかは、自由に利用者が決めることができます。個別株を買うもよし、ETFやREITで投資するもよし、投資信託でもよし、と選択肢は多様です。

しかし、高いリスクをとることは、高い元本割れの可能性を伴うということを常に留意した投資判断が必要になります。逆にいえば、損失可能性も把握できない投資をしてはいけません。

仮に国の年金運用や企業年金の運用のようにしっかりした分散投資を行っても、リーマンショックのようなマーケットの世界的急落があった場合、年率でマイナス18%程度の元本割れが生じました(企業年金連合会調べ)。個人の資産運用においては、プロより悪い運用結果が生じやすいと考えるべきですから、マイナス20%あるいはマイナス30%の運用結果になった場合に、セカンドライフのやりくりに致命的支障が生じないか、じっくり考えてみる必要があります。

幸いにしてNISAの年間投資可能額は100万円、5年で500万円にとどまりますので、無制限にリスクに資金をさらすことにはなりません。しかし、最大で500万円の投資元本が相場急落の直撃(仮にマイナス20%とする)を受ければ、100万円マイナスになることもありえます。NISAは運用益非課税のメリットがあるため、ついつい儲かったときの算段をしてしまいますが、むしろ最悪のケースについても考えてみることが大切です。

年金生活者においては、老後の貴重な生活資金として利用が想定されていたり、また市場の回復を何年も待つ余裕を持ちにくかったりします。つまりリスク許容度の低い資金であることを考慮し、投資額の決定を行うといいでしょう。

NISAの上限を前提とするのではなく、自身の損失可能額を考慮して金額決定をしてください。

「使えるなら夫婦2口座、子のNISA口座開設も」

投資について理解があり、無理のない投資額であれば、夫婦でNISA口座を開設し2口座とすることもできます。つまり年200万円の運用益非課税口座が得られるわけです。また、子や孫に生前贈与した額をNISA口座に入金させることも考えられます。

ただし、本人以外の証券口座での売買については、銀行口座以上に慎重に取り扱う必要があります。借名取引(口座の名義人以外が売買を行うこと)は基本的に禁止されています。また、相続時にも親が管理してる子の口座の場合、生前贈与が認められない可能性があります。口座管理や運用指図は当人が行うようにしておきましょう(本人同意のもとで積立投資信託の自動買い付けを行う手続きまで手伝うなど、工夫をしてみたいところです)。

「NISAで毎月分配型投信は有利か」

ところで、収益分配金を毎月、隔月あるいは四半期ごとに出すような多分配型の投資信託とNISAの相性はどうでしょうか。一般に分配が多い投資信託の問題点としては、利益が何度も分配されてしまうことで中長期的な資産形成につながらないこと、運用益を分配すると課税対象となるため税負担が生じること、運用が安定していないときに特別分配、つまり運用元本をただ取り崩していく例があること、などがあげられます。

しかし中高齢者において、資産を定期的に取り崩していく手段のひとつとして、分配回数の多い投資信託のニーズは根強く、NISAでこうした投資信託を買ってもいいか、という質問があります。

確かにNISAの場合、毎月分配が行われたとき、税金がかからないため従来のデメリットを気にしなくてもいいといえます。もともと取り崩しを想定している資産であるならば資産の成長はあまり重視されていませんし、特別分配金についてはどちらももともと課税されませんので、特にマイナスになることもありません。

ただし、問題がひとつあります。それはNISAにおける投資元本は1年あたり100万円に過ぎない、ということです。仮に10,000円=1口とし、1口あたり毎月20円が出る投資信託を想定してみます。単年で100万円分の投資をしたところで100口の投資信託しか保有できないため、毎月の受取額は2000円程度です。5年かけてようやく500万円の元本を作っても、毎月受け取れるのは1万円にしかなりません。

毎月分配型のような投資信託はNISAの上限では生活のプラスアルファにはなりそうにありません。毎月4~5万円以上の分配金を希望する方の期待には応えられない、と考えてみたほうがいいでしょう。

「健康の不安、判断能力の低下に応じて投資からのクロージングも考えていく」

また、年金生活においては、健康の不安や判断能力の低下を受け入れていくことが必要となってきます。リスク資産の運用においては、個人の事情を考慮してマーケットが猶予を与えてくれることはありません。投資を終わらせることも、自分で判断していく必要があります。

もし、価格が日々変動するマーケットに対応できない場合は、リスクが低い投資商品を選択することを検討したり(例えば個別株式ではなく投資信託を保有すると価格変動の幅は抑えられる)、あるいは投資を終了し預貯金を中心とした資産管理に切り替えていくことも必要でしょう。

お金を上手に増やすことは重要ですが、実際の生活の安心と安定こそがセカンドライフの最優先題です。無理をせず、資産運用とつきあっていきたいものです。

執筆:フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャル・プランナー/山崎俊輔
掲載日:2013年12月27日

 
   
    

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