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第3回 NISAの概要2(売却や繰り越し=ロールオーバーの仕方) - NISAの基本のキホン

NISAの基本のキホン

 

NISAのポイント2回目です。今回は「売り方」のほうを中心に見てみます。

NISAを利用して購入した金融商品の売却方法

NISAで購入した金融商品については、原則としていつでも売却することができます。もし購入した翌日に大きく値上がりし利益を確定したければ、すぐに売却することも可能です(もちろん、株式市場等が開いており、売却ができることが前提です)。
いつでも売却できる、ということは何かお金が必要になったとき、すぐに現金化できるということです。一定期間あるいは一定の年数解約できないような制度も少なくないのですが、NISAについては売却可能な期間について制限はありません(個別の金融商品によって売却や資金の受け渡しに日数が生じることがあります)。

さて、売却時に利益が生じた場合、通常であればその譲渡益()について20%の課税がなされます。しかしNISA口座で購入した株式投信・上場株式等の売却益や分配金・配当金等については、5年間非課税で利益をそのまま全額受け取ることができます。文字通り、どんなに儲かっても「非課税」です。これはとても大きな税制優遇措置です。

※譲渡益:有価証券、土地等の資産の価格変動に伴って生じる売買差益(別名、キャピタルゲインともいう)のこと。利子・配当等のインカムゲインと対比される。

ただし、注意点がいくつかあります。NISAの税制優遇を得るチャンスは「売却を一度行えば終了」ということです。
たとえば2014年に100万円投資し、同年のうちに120万円まで順調に値上がりしたと仮定します。このとき、一部ないし全部を売却した場合、2014年分の「100万円のNISA枠」を再度利用することはできません。まだ2014年だからといっても、何度も100万円の非課税投資枠が復活するわけではないのです。

また、売却した商品がその後さらに値上がりした場合も、もう利益確定してしまったわけですから、非課税のメリットを取り逃したということになります。つまり、売却するチャンスは慎重に選ばなければなりません。第2話で説明したとおり、売却益非課税の期限は投資をした年から5年目の年末ですから、それまでの間で売却をするタイミングを考えていくことになります。

NISAで購入した金融商品の繰り越し(ロールオーバー)

ところで、NISAは5年目まで100万円の投資枠を持ち続けることができますが、5年目の年末まで売却をせずにがんばって持ち続けた場合はどうなるでしょうか。6年目に入ったら、いきなり20%の課税になっては困ります。そこで、長く持ち続けた人が不利にならないように、NISAではいくつか選択肢が用意されています。

2014年に投資したNISAで考えてみましょう。投資した金融商品の非課税期間が終了するのは2018年末です。このとき、どのような選択をすれば良いのか理解することがポイントです。

☆選択1:NISA口座から証券口座に全額移す
もし、5年目の年末まで売却しなかった場合、「NISA口座から手元の証券口座に移す」ということができます。もし特定口座、一般口座などの証券口座を持っている場合、値上がりした株式や投資信託を手元の証券口座にそのまま全額移し利益確定はせず、さらなる値上がりを目指すことができます。
この場合、5年目の年末の価格を、手元の証券口座における購入価格=新たな取得金額とします。

(例1):投資した金融商品が値上がりした場合
NISAを利用して100万円で投資した金融商品が5年目の年末に130万円となっていた場合、証券口座に移したときは「取得価額130万円」と記録され、これが基準となります。さらに価格が上昇した分の利益についてのみ、課税されることになります。NISAの非課税メリットは5年を過ぎても守られた、というわけです。

(図1)100万円で購入した金融商品が130万円に増えた後、課税口座に移した場合

(例2):投資した金融商品が値下がりした場合
逆に、値下がりしていた場合は注意が必要です。
同じく100万円で投資した金融商品が5年目の年末に80万円になっていた場合、証券口座に移した時は80万円が取得価額になります。値下がりしているときは損失確定を避けて長期保有することがよくありますが、特定口座に移した80万円が100万円に戻ったとしても、「20万円の利益が出た」とみなされて譲渡益の課税されてしまうのです。

(図2)100万円で購入した金融商品が80万円に減って、
課税口座に移した後、100万円に戻した場合

もし、値下がりしていた場合は、損切りして売却してしまう(この場合20万円の損失が確定)か、次に説明するロールオーバーを活用する(この時点で損失は確定せずに持ち越す。将来100万円を超えれば非課税で利益を得られる。)といいでしょう。

☆選択2:繰り越し=「ロールオーバー」する
もうひとつの方法は繰り越し=「ロールオーバー」と呼ばれる方法です。最長5年の非課税期間が終わっても、翌年の非課税口座の枠を使うことで最長10年にすることもできるのです。2014年にはじめた投資は2018年で非課税期間が終わりますがロールオーバーで、2019年のNISA口座にそのまま入金し、2023年までさらに最長5年の非課税期間を利用することができます。

なお、ロールオーバーができる額は、評価額で最大100万円までです。はじめの非課税期間5年が終わるときに評価額で100万円を超えている分は、課税口座(特定口座・一般口座)に移すか、売却する必要があります。

ロールオーバーの例について、いくつか見てみましょう。

例1:
2014年に投資した50万円が2018年の年末に80万円に増えた場合

利益確定せず、2019年のNISA枠に20万円追加()し、さらなる非課税メリットを追求することができます。

ロールオーバーできるのは100万円の非課税投資枠に収まる分に限られます。50万円しか投資していませんが、評価額が80万円に増えているため、2019年に投資できる残りの金額は100万円-80万円=20万円です。

例2:
2014年に投資した100万円が2018年末に100万円を超えて評価額130万円に増えた場合

ロールオーバーできるのは、100万円の非課税枠に収まる金額に限られます。30万円分は売却するか、保有し続けるなら特定口座、一般口座などの課税口座に移します。

100万円→130万円   30万円→売却か、課税口座に移す
100万円→ロールオーバーしてNISA口座で継続して運用する。

NISAについては「売り方」を考えていくことが重要になってきます。中長期的な視点で、資産を増やす方法を考えてみてください。

執筆:フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャル・プランナー/山崎俊輔

   
    

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