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第2回 高配当銘柄はNISAに最適なのか―配当銘柄としての薬品株を考える - NISAで株式投資をはじめてみよう!

NISAで株式投資をはじめてみよう!

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「配当が毎年出ている」という点から、NISAに向く銘柄を考える

NISAのメリットを最大限に生かすためには「投資した資産価格が非課税期間の終了する5年後に高値となり、かつその間に配当が毎年出ている」という投資対象に投資ができたときです。しかし、NISAを活用した5年後に、投資来高値になっているかどうかは事前にはわかりません。もっというと、投資した時点の株価を上回っているかどうかも分かりません。そこで、高配当の投資信託や株式が人気のようですが、果たしてその考え方が正しいのかどうかを考えてみていきます。今回は「配当が毎年出ている」という点から、NISAに向く銘柄を考えていきたいと思います。

配当を考える

なぜ「配当が毎年出ている」銘柄を考えるのかですが、これは配当からは企業を見る上で様々な重要なことがわかるからです。配当が出ているということは当期純利益が計上されている可能性が高いといえます。また、株主に配当が継続的に支払われている場合には、毎年利益を計上しているともいえ、経営が安定しているといえます。毎年当期純利益を計上することができ、その範囲で配当を支払うことができている企業は純資産も積みあがっているはずです。純資産が積み上がっていけば、BPS(1株当たり純資産)などを利用したバリュエーション(株価評価)による株価の下値も切りあがってくることがあります。このように「毎年配当が出ている」点を確認することは、株主からすれば多くことを確認することができます。

配当は期間利益が計上された時に支払われるべきものです。安定的に配当をすることを優先する企業もありますが、当期純損失でも配当をするというのは、企業が業績を立て直そうとする際に必要な投資余力をも奪いかねません。業績がよくないのに配当利回りなどで見て高めの配当を支払っているような企業は将来の業績を疑ってかかるという準備も必要です。

それでは、配当を支払っていない企業は業績がよくないのか、もしくは株価は上がらないのかというとこれも企業ごとに事情が異なります。株主が期待するリターン以上を確保できる投資機会がある場合には、配当を支払わず内部留保する企業もあります。以前のマイクロソフトがそうでしたし、アマゾン・ドット・コムは現在でも当期純利益や配当などには目もくれず、成長機会がある事業に投資を続けています。こうした成長企業が配当をすることは、経営者は投資家に「成長機会がなくなった」とも受け止められることを懸念しています。

「配当が毎年出ている」銘柄とは

さて、配当について理解したうえで、日本の上場株式の中で「配当が毎年出ている」銘柄について考えてみます。安定的な配当銘柄としては、東日本大震災以前であれば電力株も該当しましたし、現在では通信や薬品株が代表的ではないでしょうか。その中でも今回はグローバルで事業を展開している薬品株について考えます。通信株も業績が安定していると考えられますが、グローバルで事業をしている方が事業の成長余地があると期待できるためです。

図表1を見ていただきますと、2008年3月末の株価で購入できたとすると、その後の2013年3月期までの5年間は、「投資した資産価格が非課税期間の終了する5年後に高値となり、かつその間に配当が毎年出ている」投資対象であったことがわかります。たとえば、武田薬品工業(4502)でいえば、2008年3月末の株価である4,990円であったものが、5年後の2013年3月末には5,030円になっています。途中株価が下落したものの毎年3月ごとの年次ベースでは2013年3月末が高値となっています。また、毎年配当も支払われていたので、上記の期間でいえば、キャピタル・ゲインとインカム・ゲインでNISAの制度があれば恩恵を受けることができたといえます。

図表1
出所:SPEEDAをもとに筆者作成

NISAで薬品株が最適といえるのか

それでは、2014年1月から始まったNISAにも薬品株が最適といえるのでしょうか。実は、純利益を毎年計上し、安定的に配当を支払っている薬品株もそうではないことがあります。図表2は過去10年間の高値とその5年後の株価を示したものです。安定的に配当を支払っている薬品株といっても株価自体は大きく変動していることがわかります。毎年配当が出たとしても、株価の簿価が、図表2のように30-50%も下落してしまえば、配当利回り5%が5年続いたとしても意味がなくなってしまいます。こうした過去を考えると、一概に薬品株だからNISAに最適だということはできません。NISAを活用する場合でも、投資のタイミングを吟味することが非常に重要となってきます。

図表2
出所:SPEEDAをもとに筆者作成

投資のタイミングとして、「今でしょ」といえるのか

では、現在は株式に投資をするタイミングとしては最適なのでしょうか。図表3は日本の株式市場の時価総額の合計が日本の名目GDPに対してどの程度の水準にあるかを示したものです。2013年12月末時点で、日本の株式市場の時価総額は名目GDPに対してほぼ100%の水準にあります。日本の株式市場の時価総額の合計が名目GDPを上回っていた時期は、2005年12月から2007年10月の間なのです。この時期は、米国でのサブプライムローンを通じた住宅投資による過熱気味の景気や2004年以降に円安に転じることで日本の製造業の業績が恩恵を受けていた時期です。今後も株式市場がある種バブルを含んだ水準にまで至ると考えれば株価は今後も上がる可能性があります。しかし、図表3からは、現在の株式市場の時価総額は過去の水準からみて割安ということは言うことができません。どちらかというと、今後は下落する可能性が高いと考えています。NISAは一旦購入してしまうとその買値が簿価になり、その買値を超えない限り、キャピタル・ゲインの非課税メリットを享受することができません。したがって、NISAを利用して投資をするタイミングは十分に注意をする必要があります。

図表3
出所:SPEEDAをもとに筆者作成

執筆:株式会社ナビゲータープラットフォーム取締役 アナリスト兼Longine編集委員長


泉田 良輔(いずみだ りょうすけ)氏

個人投資家向け投資アイデアサイト「Longine(ロンジン、http://www.longine.jp/)」編集委員長
慶應義塾大学商学部卒。日本生命保険、フィデリティ投信で日本株式の証券アナリストや外国株式のポートフォリオマネージャーとして従事。2013年に株式会社ナビゲータープラットフォームを設立し、Longine(ロンジン)を運営。著書に「日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか」(日本経済新聞出版社)

掲載日:2014年3月7日

 
   
    

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