不二精機 Research Memo(3):高精度精密プラスチック金型の製造を専業とし事業を拡大(2)

2020年04月07日 15時13分

■会社概要

2. 事業内容
不二精機<6400>事業は射出成形用精密金型及び成形システム事業と精密成形品その他事業に分類され、2019年12月期における売上高は、射出成形用精密金型及び成形システム事業が2,921百万円(構成比44.3%)、精密成形品その他事業が3,671百万円(同55.7%)となっている。同様に事業別営業利益では射出成形用精密金型及び成形システム事業が279百万円(構成比72.3%)、営業利益率9.5%、精密成形品その他事業が107百万円(同27.7%)、営業利益率2.9%となっている。

(1) 射出成形用精密金型及び成形システム事業
射出成形用精密金型及び成形システム事業は、「精密金型の不二精機」を前面に掲げ、ハイサイクル、多数個取り、不良率・バラツキの極小化、長寿命な精密成形用金型に特化する形で事業展開してきた。その代表的な製品がCD用プラスチックケース向け精密金型並びに周辺機器を組み合わせた成形システムである。CDは1979年にソニー<6758>とフィリップスが共同開発を進め、1982年にCDの生産が開始、同社は当初よりCDケース用精密金型に関わり、1984年にはCD研究開発用精密金型、CDケース用金型も開発、1995年にはCDプラスチックケース用精密金型の量産タイプを開発、周辺装置と組み合わせた成形システムとして輸出販売も開始し事業拡大を図った。「ディスクケース」成形のような大量生産製品は自動組立ラインで製造され、成形品の外寸誤差が5ミクロンを超えるとラインが停止するが、これを防ぐためにミクロン精度の金型が必要となる。しかも低コスト化の要求から、ハイサイクル(1回の成形時間が短い)、多数個取り(1回の成形サイクルで多数の製品を成形)技術、さらに長寿命でメンテナンスコストも軽減できる金型が必須となり、同社の精密金型システムの採用が広がった。2000年12月には台湾のRitekから56億円規模の大型受注を獲得、当時の同社売上高の50%を占めていた。このような環境で、薄型CDケース用精密金型では90%程度のシェアを獲得、同事業は大きく成長した。しかし光ディスクは、音楽の世界でアップルが2001年にiPodを発売、2007年には初代iPhoneの登場、PCやTV録画においてもHDDの普及、さらにはNetflixなどでネット配信が普及し、需要が減退、急速に情報関連向け精密金型市場が縮小している。

同社はこのような環境下、超精密、ハイサイクル、不良率・バラツキの極小化、多数個取りの金型技術を他業界に生かすべく、1997年9月に現在の主力となる注射器用精密金型を開発した。その後、シャーレ、点滴用品、ダイアライザーなどの医療分野へ大きく舵取りを変化させた。2019年12月期において、医療機器関連精密金型の売上高は1,738百万円、構成比率は59.5%を占めている。

(2) 精密成形品その他事業
精密成形品その他事業は精密金型で培ったノウハウを生かすため、2001年1月にタイにTHAI FUJI SEIKI Co.,LTD.を設立したところから始まる。同年9月には中国上海、2002年3月には蘇州と、相次いで精密成形品の生産拠点を設けた。スタート時点の成形品はCDケース、デジカメのオートフォーカスレンズ鏡筒部品が中心で、特に蘇州工場ではフィリップスの新CDケース規格のSUPER JEWEL BOXを独占供給するために20億円を投じ、2004年12月期は一気に売上高5,729百万円まで拡大した。しかし新規格品は拡大せず、原油価格の高騰で高い原材料を使用していたために業績が急降下、2009年には製造打ち切りとなり、2009年12月期に精密成形品その他事業はピーク時半減となった。この後も蘇州の収益性は厳しく、2014年にすべてを譲渡し撤退した。利益面では償却負担、原材料高などの影響で、同事業全体の足を大きく引っ張り、同事業の収益は蘇州撤退時の2014年12月期まで安定しなかった。

一方で非情報関連の拡大を目指し、長期的に安定した需要が見込める分野として、自動車関連事業をターゲットとした。タイで納入していた精密金型の技術力が評価され、本田技研工業(ホンダ)<7267>系のケーヒン<7251>に2輪車向けインジェクター(エンジンとスロットルボディやキャブレターと接続する樹脂製パーツ)成形品を納入したことが始まりとなった。2011年にはタイのチャオプラヤ川における大洪水で大きな損害を被る経験もあったが、住友電装(株)向けにワイヤーハーネスの留め具なども供給し、日系自動車部品現地法人向け中心として、4輪向けにも安全保安部品などの小物自動車部品成形品が拡大した。2019年12月期の同事業の売上高3,671百万円の中で、2輪・自動車関連部品成形品は2,587百万円、同部門の70.5%を占める。また同部門の収益力が安定してきたのは、蘇州からの撤退に加え、先行投資負担が大きかったインドネシア子会社が2016年12月期に営業黒字化したことが寄与している。

3. 同社事業を取り巻く環境
同社が属する金型製造業界は業界全体の出荷額が3,975億円(「令和元年 経済産業省生産動態統計年報機械統計編」より)となっている。同業界で最大の生産規模を誇るのがプレス用金型で、1,583億円(構成比39.8%)、同社が製造しているプラスチック用金型の生産金額は1,302億円(同32.8%)と、用途別では2番目に大きい。しかし金型業界全体の推移を見ると、バブル期の1991年の生産額5,441億円をピークとして長く業界全体が低迷、リーマンショック後の2011年には3,149億円まで落ち込み、現状はピーク時1991年生産額の73%水準、プラスチック用金型も同様にピーク時1991年生産額の64%にとどまる。この間、金型製造事業所も減少を続け、工業統計表では1990年に13,115事業所あったものが、2017年には7,820事業所と6割水準となっている。この背景には主力産業の国内生産の低迷、またグローバル化による海外での金型生産並びに汎用製品での海外金型企業への調達増などが影響している。また金型生産は自社生産のために自家消費用金型を生産しているが、プラスチック用金型では徐々に自家消費比率が上昇、現状24.7%が自家消費向けとなっている。このため外販用のプラスチック用金型メーカーはいかに付加価値を上げ、差別化した金型を供給できるかがカギとなる。

同社の射出成形用精密金型及び成形システム事業も、世界シェアが高いCDケース用射出成形用精密金型事業が縮小するなかで、精密金型において医療機器の開発・製造・販売などに新たな活路を見出し、また精密金型技術を生かした精密成形品その他事業の拡大を目指す形となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)




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