日経平均は反落、米株急落の裏で投資家は冷静?

2020年09月09日 12時25分

 日経平均は反落。365.16円安の22908.97円(出来高概算6億2000万株)で前場の取引を終えている。

 連休明け8日の米株式市場でNYダウは大幅に3日続落し、632ドル安となった。引き続き主要ハイテク株が大きく売られ、ナスダック総合指数は4.1%の下落。また、トランプ大統領が中国との経済関係を大幅に縮小すると表明したほか、原油先物相場が大幅に下落したことなどから、景気敏感株にも売りが広がった。さらに東京市場の取引開始前には、英アストラゼネカなどが開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、安全性への懸念から最終段階の臨床試験が一時中断されていると伝わった。投資家心理の悪化により幅広い銘柄に売りが先行し、日経平均は307円安からスタートすると、前場中ごろには22878.71円(395.42円安)まで下落する場面があった。

 個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>が米ハイテク株安を受けて5%超の下落。その他売買代金上位もトヨタ自<7203>、ソニー<6758>、東エレク<8035>など軒並み2%超下落しており、みずほ<8411>が3%超下落するなどメガバンク株の軟調ぶりがやや目立つ。任天堂<7974>やファーストリテ<9983>は下落率が1%弱にとどまっており、相対的に底堅い印象。また、決算が嫌気されたアルトナー<2163>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、川崎船<9107>、商船三井<9104>、郵船<9101>といった海運株が堅調。一部証券会社による投資判断や目標株価の引き上げが観測されている。コーセーRE<3246>は決算が好感されて大幅高。ヒノキヤG<1413>はヤマダ電<9831>による株式公開買付け(TOB)の価格にさや寄せする展開となっている。

 セクターでは、鉱業、銀行業、不動産業が下落率上位で、その他も全般軟調。上昇したのは海運業のみだった。東証1部の値下がり銘柄は全体の85%、対して値上がり銘柄は11%となっている。

 動向が注目された8日の米市場ではNYダウ、ナスダック総合指数とも大幅に下落し、本日の東京市場でも幅広い銘柄に売りが先行する展開となった。前日はNYダウ先物やナスダック100先物が時間外取引で堅調に推移し、反発期待が高まっていただけにその反動が出やすいだろう。日経平均の日足チャートを見ると、節目の23000円とともに、同水準に位置する25日移動平均線も割り込んだ格好だ。ただ、その割にここまで下値を模索するような展開とはなっておらず、ややこう着感の強い印象を受ける。東証1部売買代金も1兆円をやや上回る程度で、値幅の割に膨らんでいない。

 売買代金上位を見ると、代表的なバリュー(割安)株の一角であるみずほ、「ウィズコロナ」関連のグロース(成長)株の一角であるZHD<4689>の軟調ぶりが印象的。米国株の急落でリスク回避的な動きが広がっていることを窺わせる。ただ、前日先んじて大幅な調整を強いられた任天堂などは下げ渋る動きを見せており、冷静に押し目を拾う動きもあるようだ。また、海運株に見られるように、材料を手掛かりとした出遅れバリュー株物色も継続している。直近では米投資会社バークシャー・ハザウェイによる株式保有が判明した商社株、菅義偉官房長官の発言を受けて再編期待が高まった地銀株が急動意を見せる場面があった。

 マザーズは反落。1%超の下落で前場を折り返しているが、こちらは節目の1100pt、それに同水準に位置する25日移動平均線を割り込んでおらず、前日同様に粘り腰を見せている。前日のマザーズ売買代金は8月13日以来の2000億円割れとなり、米ハイテク株安を受けて資金流入に一服感がある一方、さほどパニック的な売りが広がっていないことも窺わせる。短期の値幅取りでなく、中長期的な視点で新興株に期待する個人投資家が思いのほか多いのかもしれない。

 米ハイテク株のなかでも躍進ぶりが目立っていた電気自動車(EV)のテスラだが、S&P500指数への不採用やゼネラル・モーターズとニコラの提携を受けて急落。インターネット証券経由で同社株を信用取引していた個人投資家は強制決済を強いられたようだ。また、新型コロナワクチン開発や景気持ち直しへの期待後退、米中対立への懸念再燃と悪材料が重なり、NYダウはこの3営業日でおよそ1600ドル下落した。ナスダック総合指数は2日に付けた過去最高値からの下落率が10%に達し、「調整局面入り」を予想する向きが増えてきた。

 しかし、市場のムードが大幅に悪化したかと言えば、必ずしもそうとは言い切れない。「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)は8日、31.46と前日比+0.71にとどまった。米連邦準備理事会(FRB)を中心とした主要中央銀行の積極的な金融緩和を背景に、米ハイテク株を中心に日米株は大幅に上昇してきたため、「健全な調整の範囲」と受け止める向きが多いようだ。もちろんこれまでのようなユーフォリア(陶酔感)が続きにくくなった可能性はあるが、金融緩和で膨らんだ投資マネーのローテーションは続くし、日本では日銀による上場投資信託(ETF)買い入れも株価の下支えとして機能する。日経平均は大幅な調整を強いられず、目先23000円を挟んだもみ合いになると予想したい。
(小林大純)


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