米国景気の先行き警戒感が後退

2020年10月19日 12時20分

[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;23672.60;+261.97TOPIX;1638.88;+21.19

[後場の投資戦略]

 先週、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬に関するネガティブなニュースが相次いだ。少し拾ってみる。12日、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が新型コロナワクチンの最終段階の治験を停止すると発表した。13日には米イーライリリーが抗体治療薬臨床試験の被験者登録を停止したと報じられた。14日にはアンジェス<4563>が開発中のワクチンについて大量生産が可能になるのは2022年の後半になるとの報道があった。さらに15日には世界保健機関(WHO)が抗ウイルス薬「レムデシビル」についてコロナ患者の死亡率低下に効果がないとの調査結果を発表した。

 こうしたニュースは関連銘柄の株価を大きく揺さぶるが、株式市場全体への影響はこれまでのところ限定的なようだ。なぜだろう。以前、当欄でしつこく書いた「株価=景気/金利」という式を思い返してみる。ワクチンや治療薬の開発、普及は新型コロナの収束をもたらし、これまで「期待」先行だった景気回復が「現実」のものとなり、分子の景気を押し上げる。これは株式市場にとって歓迎すべきことのようにも思われるが、本当にそうだろうか。

 ワクチンや治療薬の開発、普及によるコロナ収束で景気回復が期待から現実のものとなった後は、「この景気拡大はいつまで続くのか」「金融引き締めはいつなのか」などが市場の関心事となり、株価の上値を抑える。言い方を変えれば、ワクチンや治療薬が開発され普及するまでは、景気回復は実現しないものの、景気回復への「期待」は継続し、株価上昇の原動力であり続ける。逆説的ではあるが、ワクチンや治療薬の開発、普及が遅れるほど、株価上昇が長く続くということになるのかもしれない。新型コロナワクチンや治療薬に関するネガティブなニュースは、株価上昇という一点に絞ってみれば、あながち逆風とばかりは言えないのかもしれない。この件に関しては、次の機会にもう少し考えてみる。

 さて、後場の東京株式市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。先週末の日経平均が23400円どころに位置する25日移動平均線近辺で下げ止まったことで、相場の地合いは強いとの指摘があった。一方、欧米での新型コロナ感染拡大への懸念が継続していることに加え、22日に米大統領選候補者のテレビ討論会を控えていることから積極的な買いは手控えられ、やや様子見ムードが強まる可能性もある。
(小山 眞一)


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