日経平均は4日ぶり大幅反発、米中株高追い風だが一段の戻り余地は?

2021年07月12日 12時17分

 日経平均は4日ぶり大幅反発。640.36円高の28580.78円(出来高概算5億6000万株)
で前場の取引を終えている。

 9日の米株式市場でNYダウは反発し、448ドル高となった。長期金利の上昇とともに世界経済の減速懸念が和らぎ、NYダウとナスダック総合指数、S&P500指数は揃って過去最高値を更新した。また、東京市場では上場投資信託(ETF)の分配金捻出に絡んだ売り一巡も意識され、週明けの日経平均は472円高からスタート。アジア市場も中国・上海株を中心におおむね堅調な展開となり、こうした海外株高を支援材料に日経平均は前引けにかけて28595.12円(654.70円高)まで上昇する場面があった。

 個別では、ソフトバンクG<9984>、ソニーG<6758>、レーザーテック<6920>、ファーストリテ<9983>、トヨタ自<7203>などの売買代金上位が全般堅調。第1四半期決算と通期予想の上方修正を発表した安川電<6506>が6%近く上昇し、ファナック<6954>など他の設備投資関連株にも買いが波及している。吉野家HD<9861>やビックカメラ<3048>も決算を受けて大きく上昇。また、ダントーHD<5337>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、売買代金上位ではエーザイ<4523>が逆行安。米当局がアルツハイマー病治療薬の承認過程について調査を要請したと報じられた。アステナHD<8095>やナルミヤ<9275>は好決算ながら材料出尽くし感から売りがかさみ、東証1部下落率上位に顔を出している。

 セクターでは、機械、金属製品、電気機器などが上昇率上位で、その他も全般堅調。下落したのは空運業のみだった。東証1部の値上がり銘柄は全体の91%、対して値下がり銘柄は6%となっている。

 米長期金利の反発やETF分配金捻出に絡んだ売り一巡とともに、週明けの日経平均は大きく反発して始まった。日足チャートを見ると、窓を開けての急伸で寄り付きから2
8300円台に位置する5日移動平均線を上回ってきた。東証1部銘柄の9割以上が上昇する全面高の展開で、日経平均の+2.29%に対し、東証株価指数(TOPIX)も+2.13%と堅調。ただ、ここまでの東証1部売買代金は1兆2000億円あまりと、値幅の割に膨らんでいる印象はない。新興市場ではマザーズ指数が+0.98%と続伸。反発期待の主力大型株に関心が向いている感はあるが、投資家心理の改善で新興株もしっかりといったところ。

 アジア市場では中国・上海総合指数が上げ幅を広げる展開となっており、日本株にとっても支援材料となりそうだ。中国人民銀行(中央銀行)は9日、中小企業の資金繰り支援のため預金準備率を引き下げると発表。不動産バブル抑制に向けた金融引き締めが警戒されていただけに、一定の安心感につながるだろう。もちろん、安川電の好決算も中国関連株にとって追い風として働いていると考えられる。

 もっとも、先週の日経平均はおよそ843円、直近の3日続落ではおよそ703円下落しており、これらを埋め切るまでには至っていない。米中株高を支えに一段の戻りを試しても、28800円手前に位置する25日移動平均線が目先の上値メドとして意識されやすそうだ。2月高値30714.52円(取引時間中)をピークとした上値切り下げトレンドが続くとの見方に変わりはない。

 まず、先週末こそ米長期金利は反発したものの、3月までの「リフレトレード」で膨らんだヘッジファンドの米国債のショートポジション(売り持ち)は大きく、夏季休暇期で積極的な取引が少なくなっていることもあり、本格的な反転上昇までは期待しにくいだろう。世界経済の減速懸念は続き、景気敏感色の強い日本株にとって逆風となりそうだ。

 また従来、新型コロナウイルスワクチンの普及とともに海外株をキャッチアップする展開を予想していた国内市場関係者らも、東京五輪の無観客開催が決まったことでようやく慎重姿勢に転じてきた。一部の市場関係者は海外投資家とのミーティングで日本株への関心の低さも感じているようだ。

 ネット証券の売買代金ランキングを見ると、先週末にかけて積極的な押し目買いが入った日経レバETF<1570>も、本日早々に利益確定売りが広がっている。戻り売りラインは徐々に切り下がってきており、個人投資家も「まだまだ上値は期待できない」とみていることがよくわかる。

 さて、今週も15日のファーストリテを中心に3-5月期決算発表が残っており、海外では米中の重要経済指標や米金融大手の4-6月期決算発表が予定されている。徐々にこれらの内容を見極めたいとの思惑が強まってくるだろう。
(小林大純)


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